2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームにおける腎臓脂肪連関の解明
Project/Area Number |
22590898
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
徳山 博文 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50276250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 晃一 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80164937)
脇野 修 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50265823)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 肥満 / アルドステロン / Rhoキナーゼ / 脂肪組織 / 脂肪腎臓連関 |
Research Abstract |
腹部脂肪組織貯留は、肥満におけるインスリン抵抗性に関与することが報告されている.しかし、この腹部脂肪組織貯留と肥満関連腎症の連関については不明である.そこで、肥満に伴う腎障害の発症進展における腹部脂肪組織除去の有用性を検討するとともに、脂肪組織特異的Rhoキナーゼdomimant negativeマウス(高脂肪食を与えても腹部脂肪が増加せず、肥満を来さないマウス、Science Signaling,2011年)を用い、脂肪腎臓連関の病態生理を解明する.脂肪組織特異的Rhoキナーゼdominant negativeマウスを用い、Wild type群(W群)、dominant negativeマウス(DN群)の2群に対しそれぞれ高脂肪食を与え12週間飼育した(実験1).さらに、6週齢のC57BL/6Jマウスを3群に分け、2群に高脂肪食(60kcal%脂肪食)、1群に低脂肪食(10kcal%脂肪食)を与え12週間飼育した.高脂肪食群の1群には10週目で腹部脂肪組織除去(R群)を行った(実験2).W群で認められた糸球体肥大、炎症細胞の浸潤、上皮細胞障害(podocytopathy)など組織学的変化、尿蛋白量増加、炎症性ケモカイン(TNF-α、MCP-1、PDGF-B)の誘導は、DN群では著明に改善、抑制された(実験1).また、高脂肪食群では低脂肪食群に比し著しい肥満を認め、糸球体肥大、炎症細胞の浸潤、上皮細胞障害(podocytopathy)など組織学的変化がみられ、尿蛋白量は有意に増加した.さらに、腎組織Rhoキナーゼの活性化、炎症性ケモカイン(TNF-α、MCP-1、PDGF-B)の誘導を認めた.R群では除去脂肪組織において炎症性ケモカインの著明な誘導がみられ、これを除去することにより、全身循環炎症性ケモカイン・酸化ストレスマーカーが減少し、上皮細胞障害(podo cytopathy)が改善され、尿蛋白量は改善した(実験2).肥満関連腎症において、腹部脂肪貯留による炎症性ケモカインの誘導、およびその全身循環が腎症発症、特に上皮細胞障害(podocytopathy)に関与するものと考えられ、脂肪腎臓連関の病態生理の一端を示す結果となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪組織特異的Rhoキナーゼdominant negativeマウス(Science Signaling,2011年)を用いた研究も施行でき、さらに、腹部脂肪組織除去による検証実験も施行し得た。肥満関連腎症において、腹部脂肪貯留による炎症性ケモカインの誘導、およびその全身循環が腎症発症、特に上皮細胞障害(podocytopathy)に関与することを初めて明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
従来報告されてきた肥満関運腎症における組織型は糸球体肥大、および巣状糸球体硬化所見であった。我々のこれまでの研究において、上皮細胞障害(podocytopathy)、尿細管細胞内における著明な脂肪沈着があることが新たに明らかになった。尿細管細胞内における著明な脂肪沈着の発症機序を明らかにし、さらに、脂肪沈着部位における炎症性ケモカイン、血管作動性因子の動態を明らかにし、肥満関連腎症における組織障害のメカニズムをさらに明らかにする必要がある。
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Research Products
(4 results)