2011 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病の深部電極治療の作用機序及びターゲット決定に関する総合的検討
Project/Area Number |
22590954
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺尾 安生 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20343139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花島 律子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80396738)
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Keywords | 反応時間 / パーキンソン病 / 深部電極治療 / 眼球運動 / 抑制 / 視線解析 / 時間認知 / 時間再生 |
Research Abstract |
本研究はさまざまな基底核構造をターゲットとした深部電極治療(DBS)のon・offにより眼球運動課題・手指の運動課題の施行能力がどう変化するかについて検討し、DBSの作用機序について検討することを目的とする。近年運動の準備・発現において基底核が果たす役割の一つとして、時間の認知や再生が重要であることが次第に明らかになってきている。即ち基底核は時間的な情報処理を通じて運動発現のタイミングなどを正確に決定するのに重要な役割を果たしていると考えることができる。DBSによってこの基底核の機能がどのように変化するかを調べることは、Parkinson病の運動症状の改善の機序を明らかにする上で極めて重要と考えた。本年度はそのために必要となる時間認知や再生に関する課題の作成を主として行い、パーキンソン病の患者において、パイロット実験を行った。用いた課題は(1)異なる長さの音を2つ聞かせ、その後にどちらの音が長いか判断させる課題(時間認知課題)、(2)ある長さの音を聞かせたあと、それと同じ長さの音を再生させる課題(時間再生課題)、及び(3)ある一定の間隔で鳴る音にあわせてPCのキーボードをタッピングさせる課題(タッピング課題)の三種類である。これまでの実験において、パーキンソン病の患者では年齢を対照させた正常被験者と比較して、時間認知や再生の正確度が減少していることがわかった。また一塊の時間の長さを認識する能力である、時間的統合(temporal integration)の能力もパーキンソン病の患者において障害されている可能性があることが示唆された。今年度はさらに検討症例数を増やすとともに、DBSのon・offによって、上記の時間認知課題の遂行能力がどのように変わるかを、前年度に作成した眼球運動課題・手指の運動課題とあわせて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた眼球運動課題・手指の運動課題の検討の他にも時間認知・再生課題についても検討したほうがよいと思われたため、後者の課題の作成とパイロット実験のために、本年度を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで作成してきた眼球運動課題・手指の運動課題、時間認知・再生課題について、DBSをonにしたとき、offにしたときの遂行能力を比較していく予定である。必要となる課題もそろったので、今後順調に検討ができる見込みである。
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