2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子MafA・Pdx1を用いた糖尿病の新規治療法の開発
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22591022
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
西村 渉 国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター, 代謝疾患研究部, 室長 (00334433)
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Keywords | 糖尿病 / 発現制御 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 内分泌 / β細胞 / 膵臓 / 転写因子 |
Research Abstract |
[目的]2型糖尿病の病態の主要因である膵β細胞障害には、転写因子MafA・Pdx1の発現低下が深く関与しており、糖毒性モデルの膵β細胞株にこれら分子を過剰発現すると、インスリンプロモーターの活性及びインスリンの発現が改善する。そこで本研究計画では、in vivoでのMafA・Pdx1の過剰発現による膵β細胞障害の改善効果を明らかにする。 [方法]テトラサイクリン制御系システムを利用して、膵β細胞特異的にMafA・Pdx1を任意の時期に発現させることができるトランスジェニックマウスを作製し、これら転写因子の発現の効果を解析する。 [結果]糖毒性モデルの培養膵β細胞株において、mRNAの発現低下は対照群に比して、insulin1(0.24%±0.07%)、insulin2(0.05%±0.02%)、MafA(1.4±0.3%)が、Pdx1(61.9±3.4%)、Pax6(60.0±4.6%)に比べ顕著であった。6ヶ月齢の糖尿病モデルマウスdb/dbでは、著しい体重の増加、食後血糖の上昇を認めたが、これらの膵島においても、mRNAの発現低下はMafA(5.1±1.4%)、insulin1(21.1±1.3%)が、Pdx1(55.0±3.2%)やPax6(49.7±1.4%)に比べ顕著であった。一方、6ヶ月齢の高脂肪食飼育下マウスでは、糖負荷試験では耐糖能異常を認めたが、体重、食後血糖の上昇はdb/dbと比べ軽度であった。これら高脂肪食飼育下マウス膵島におけるMafA、Pdx1の発現はmRNA、蛋白レベル共に正常であった。現在、膵β細胞特異的にMafA、Pdx1あるいはその両者が過剰発現するマウスを作製し、また、これらの糖尿病モデルを作製中である。
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