2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子MafA・Pdx1を用いた糖尿病の新規治療法の開発
Project/Area Number |
22591022
|
Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
西村 渉 国立国際医療研究センター, 研究所・代謝疾患研究部, 室長 (00334433)
|
Keywords | 糖尿病 / 発現制御 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 内分泌 / β細胞 / 膵臓 / 転写因子 |
Research Abstract |
[目的]2型糖尿病の病態の主要因である膵β細胞障害には、転写因子MafAの発現低下が深く関与している。そこで本研究計画では、in vivoでの膵β細胞におけるMafAの過剰発現による、膵β細胞障害の改善効果を明らかにする。 [方法]テトラサイクリン制御系システムを利用して、膵β細胞特異的にMafAを任意の時期に発現させることができるトランスジェニック(TG)マウスを作製し、その効果を解析する。 [結果]TGマウス膵臓において、TransgeneであるMycタグ付きMafAの、任意の時期における膵β細胞特異的な発現を、分離した膵島における蛋白発現と、膵臓の免疫染色により確認した。また、このマウスとMafA KOマウスを交配し、本システムによりMafA KOマウスの膵β細胞特異的にMafAを発現させたところ、MafA KOに認められる耐糖能異常が改善した。次に、このTGマウスに生後5週から13週齢まで高脂肪食を給餌し、同時期に膵β細胞特異的にMafAを発現させたところ、非発現群に比べて体重は有意差を認めず、有意に空腹時血糖が低下し、耐糖能異常が改善した。また、糖尿病モデルマウスdb/dbの膵β細胞特異的に、4週齢よりMafAを発現させたところ、非発現群に比べ体重は有意差を認めず、空腹時血糖が低下する傾向を示した。以上より、生体の膵β細胞でも、MafAの発現レベルをin vivoで変化させると、膵β細胞の機能を改善し、糖尿病の治療的効果を生じうる事が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テトラサイクリン制御系システムを利用した、膵β細胞特異的にMafAを任意の時期に発現させることができるトランスジェニックマウスの作製と解析は進行しており、9.のような結果を得ている。一方、MafAの標的遺伝子のChIPによる探索は、今年度施行予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食マウス、糖尿病モデルマウスにおけるMafへの過剰発現について、反復実験により結果を検証し、その治療的効果を明らかにする。また、膵β細胞株、あるいはMafAを過剰発現した膵β細胞株を用いて、ChIPによりMafAの標的遺伝子を探索する。また、MafAの過剰発現マウスの膵島を用いて、transgeneであるMafAに付加しているMycタグ抗体によるChIPを試みる。同定された遺伝子群について、MafA過剰発現マウス、高脂肪食マウス、糖尿病モデルマウスの膵島における発現を検証する。
|
Research Products
(6 results)