2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞からの無フィーダー血球分化における血球貪食症候群類似状態の解明
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22591053
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
佐伯 久美子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所疾患制御研究部, 室長 (80322717)
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Keywords | ヒトiPS細胞 / 血球貪食 / マクロフージ / インターフェロン / ヒトES細胞 |
Research Abstract |
ヒトES細胞において確立した独自の分化誘導法(好中球主体の分化が得られる手法)を駆使してヒトiPS細胞からの血液細胞分化誘導を検討したところ、マクロファージ主体となってしまった。しかし、分化誘導初期には骨髄系の前駆細胞(好中球の元になる細胞)は存在し、これをマクロファージが貪食していると思われる所見を得た。 このようなマクロファージによる血球貪食はヒトの疾患でも知られており、その培養系モデルとなる可能性を想定して分子機構の解析を試みた。先ず、TNFやIL-1などの炎症性サイトカインの関与が臨床的には提唱されているが、我々の系ではRT-PCRによる解析で検出できなかった。次に、I型インターフェロン(IFNα1、IFNα2、IFNβ1)の発現を同じくRT-PCRにより解析した。 ヒトES細胞3株、ヒトiPS細胞4株で検討したところ、ヒトES細胞では3株中1株のみで、ヒトiPS細胞では4株全てにおいて分化誘導に伴ってI型インターフェロンの発現が認められた。 未分化な状態ではヒトES細胞でもヒトiPS細胞でも発現はなかった。以上のように、ヒトiPS細胞からの血球分化においてI型インターフェロン産生が高頻度である傾向を認めたが、ヒトiPS細胞でも培養条件によっては好中球優位の分化が認められ、一方、ヒトES細胞でも株によってマクロファージ優位の分化が認められた。また、血球貪食との関係は本年度の研究においては明らかではなかった。 ヒトiPS細胞においてI型インターフェロンの発現が高頻度に検出される傾向が認められた。その上流にはdsDNAによるIRFの経路の活性化などが推定され、iPS細胞での現象としては興味深い。しかし、血球貪食との関係がどの程度同定できるかは今後の課題である。
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Research Products
(1 results)