2011 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経ループスの診断及び活動性マーカー確立の為の研究
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22591081
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
吉尾 卓 自治医科大学, 医学部, 教授 (20221666)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 中枢神経ループス / 髄液 / サイトカイン / ケモカイン / 自己抗体 |
Research Abstract |
1.中枢神経ループス(NPSLE)出現頻度の検討(栃木県モデルとして) 2011年度(2011年4月1日から2012年3月31日まで)の全身性エリテマトーデス(SLE)新規追加登録症例は47例(SLE初発31例、2011年4月1日より前に既に他医療機関でSLEと診断16例[期間内に1例死亡])であった。2010年4月1日時点より10例の死亡が確認された為、2012年4月1日時点での登録SLE患者は791例となった。 2011年度のNPSLE発症例は16例で、症状別の検討ではループス精神病12例(その内SLE初発8例)、局所性中枢神経障害4例(その内SLE初発8例)であった。NPSLE症状のほとんどがループス精神病で、しかもSLE発症早期に出現しやすいことが判った。 2.NPSLEに関連している髄液サイトカイン/ケモカインの検討 NPSLE髄腔内サイトカイン/ケモカイン濃度は血中濃度の影響を受けているのか、あるいは血中とは無関係に独自に出現しているのかを採血と髄液採取がほぼ同時に行なわれたSLE症例を用いて検討した。更に血中濃度に比べて髄腔内で増加しているサイトカイン/ケモカインとNPSLEとの関連性を検討した。 NPSLEでは髄液IL-6、IL-8、IP-10、MCP-1、G-CSF平均濃度が各々の血中濃度よりも高く、髄液RANTES、IFN-α、TNF-α平均濃度は血中濃度よりも低値であった。 NPSLE陽性群と陰性群間での髄液濃度比較検討では、陽性群の全ての濃度が陰性群に比べて有意に高値を示し、その中でもIL-6が最も大きな有意差を示した。 NPSLEの髄腔内ではIL-6、IL-8、IP-10、MCP-1、G-CSF産生が血中の影響を受けずに、独自に亢進し、NPSLEの病因・病態・発症に関与している可能性と髄液IL-6濃度測定が、NPSLEの診断に最も役立つ可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2010年度、2011年度における新規全身性エリテマトーデス(SLE)症例登録と中枢神経ループス(NPSLE)発症例の把握はほぼ順調に行なわれた。以前から中枢神経ループスの病因・病態・発症に髄液サイトカイン/ケモカインが大きく関与すると言われて来たが、実際に何れの髄液サイトカイン/ケモカインが関与しているのかは不明であった。今回、採血と髄液採取がほぼ同時に行なわれたSLE症例の髄液と血清を用いて、NPSLEに関与しているサイトカイン/ケモカインを明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、2012年度も新規全身性エリテマトーデス症例登録と中枢神経ループス(NPSLE)発症例の把握に努める。 後向きに2002年-2009年の8年間における自施設でのNPSLE疫学調査と解析も行う。 NPSLE症例髄液中の免疫複合体濃度、自己抗体価、IFN-α等サイトカイン/ケモカイン濃度等の測定を行い、免疫複合体によるトールライクレセプターを介したIFN-α産生とNPSLEとの関連性を検討する。
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