2011 Fiscal Year Annual Research Report
SMN2遺伝子転写制御を中核技術とする脊髄性筋萎縮症治療法の開発
Project/Area Number |
22591127
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西尾 久英 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80189258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 範行 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (00322719)
竹島 泰弘 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (40281141)
|
Keywords | 脊髄性筋萎縮症 / SMN1遺伝子 / SMN2遺伝子 / プロモーター / 転写活性 / ルシフェラーゼ |
Research Abstract |
(1)はじめに:脊髄性筋萎縮症(SMA)患者の症状は、SMN2遺伝子発現の程度によって修飾されていると考えられている。SMN2遺伝子のプロモーターには少なくとも2種類のタイプ、すなわちPAC 125D9タイプ(1型プロモーターと略す)とPAC 215P-15タイプ(2型プロモーターと略す)が存在する。そこで、研究者らは、SMN2遺伝子発現機構を解析するために、SMA患者における1型および2型プロモーターの頻度を調査し、さらにそれらの転写活性を解析した。 (2)白血球中のSMN2mRNA解析:SMN1遺伝子を完全に欠失し、1型プロモーターを有するSMN2遺伝子1コピーおよび2型プロモーターを有するSMN2遺伝子1コピーを有していた患者は、支えるものがあれば歩行が可能な軽症型であった。白血球中のSMN2mRNAは、他のSMA患者よりも少ない傾向があった。 (3)1型および2型プロモーターの転写活性解析:平成23年度も、前年度に引き続き、1型プロモーター特異的塩基配列、2型プロモーター特異的塩基配列を蛍光蛋白リポーター(ルシフェラーゼ)・ベクターに挿入したコンストラクトを作成し、それぞれのベクターを培養神経芽細胞に導入し、ルシフェラーゼ発現による蛍光強度を比較する実験を繰り返した。その結果、1型プロモーター特異的塩基配列ベクターよりも、2型プロモーター特異的塩基配列ベクターではルシフェラーゼ発現は高くなる傾向が認められた。Bt2cAMP、フォルスコリンを添加しても、この傾向は変わらなかった。 (4)結論:白血球中のSMN2mRNA解析およびプロモーターの転写活性解析より、1型プロモーターの存在がSMN2遺伝子発現を活性化する可能性は否定的となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAC 125D9タイプ(1型)プロモーターはSMN1遺伝子に多いこと(平成22年度)、PAC 125D9タイプ(1型)プロモーターとPAC 215P-15タイプ(2型)プロモーターの違いが転写活性に与える影響は大きくないこと(平成23年度)が明らかになった。これらは、従来まったく知られていなかった事実である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)これまでの研究成果をまとめて英文論文を作成しているところである。 (2)今後、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療開発を目指して、SMN2遺伝子転写を促進する化合物の探索を進める予定である。現在、バルプロ酸やサルブタモールのSMN2遺伝子転写促進作用について検討している。 (3)また、プロモーターやスプライシング以外のSMA重症度を規定する因子を明らかにし、さらに、その因子に作用する化合物を探索する予定である。現在、SMA重症度と低分子量Gタンパク質を介する経路との関連について検討を始めた。
|
Research Products
(9 results)
-
[Journal Article] Valproic acid increases SMN2 expression and modulates SF2/ASF and hnRNPA1 expression in SMA fibroblast cell lines2012
Author(s)
Harahap IS, Saito T, San LP, Sasaki N, Gunadi, Nurputra DK, Yusoff S, Yamamoto T, Morikawa S, Nishimura N, Lee MJ, Takeshima Y, Matsuo M, Nishio H
-
Journal Title
Brain Dev
Volume: 34
Pages: 213-222
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Spinal muscular atrophy patient detection and carrier screening using dried blood spots on filter paper2012
Author(s)
Harahap NI, Harahap IS, Kaszjmski RH, Nurputra DK, Hartomo TB, Pham HT, Yamamoto 7 Morikawa S, Nishimura N, Rusdi I, Widiastuti R, Nishio H
-
Journal Title
Genet Test Mol Biomarkers
Volume: 16
Pages: 123-129
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Diagnosis of spinal muscular atrophy via high-resolution melting analysis symmetric polymerase chain reaction without probe : a screening evaluation for SMN1 deletions and intragenic mutations2011
Author(s)
Morikawa S, Harahap IS, Kaszynski RH, Yamamoto T, Pramudya DK, Van Pham HT, Hartomo TB, Lee MJ, Morioka I, Nishimura N, Yokoyama N, Ueno Y, Matsuo M, Nishio H
-
Journal Title
Genet Test Mol Biomarkers
Volume: 15
Pages: 677-684
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-