2010 Fiscal Year Annual Research Report
自閉性障害におけるERストレス活性化の証明と治療介入モデルの作成
Project/Area Number |
22591135
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
桃井 真里子 自治医科大学, 医学部, 教授 (90166348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 雅人 自治医科大学, 医学部, 講師 (10337347)
齋藤 真理 自治医科大学, 医学部, 講師 (10424011)
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Keywords | 自閉性障害 / CADM1 / 自閉性障害関連遺伝子 / ERストレス |
Research Abstract |
自閉性(ASD)障害を有する患者に申請者らが検出した遺伝子変異、CADM1(H246N,Y251S)によるASD関連分子病態を抽出し、変異タンパクによってERストレスが惹起され、それによるシナプス機能性タンパクがシナプス膜上で発現変動が生じることを証明する目的で、変異導入培養細胞における受容体変動を解析した。CADM1(H246N)(Y251S)タンパクとwildtypeタンパクとの結合をpull-downassayで検討した。 変タンパクは、正常タンパクとの結合が軽度の低下していた。それぞれ83.5%、74.6%の低下であり、これが、ASD病態の基本を形成することは考えにくかった。 一方、変異タンパク同士の結合は正常の20%程度であり、homophilic interactionではかなりの低下をきたすことが推定された。 C2C12培養細胞にそれぞれ上記の変異CADM1を導入し、細胞形態、分子病態を解析した。変異CADM1導入細胞は神経細胞形態をとらず、円形の細胞体であり、突起も短かった。変異CADM1は、膜上に発現が減少し、ERに蓄積することを抗体染色で明らかにした。 変異導入細胞では、ERストレス惹起で活性化される分子機構の一つである、CHOPの活性化が顕著であり、ASDに検出されたNLGN3変異と同程度のCHOP活性化を示した。変異導入細胞では有意な細胞死の増加は検出されなかった。 以上から、ASD関連分子病態にはASD関連遺伝子の変異による変異タンパクが蓄積することによるERストレスの活性化によるシナプス膜タンパクの細胞内から膜への移動障害がASDにおけるシナプス機能の変動の基盤である可能性を示唆した。
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