2011 Fiscal Year Annual Research Report
糸球体腎炎におけるレチノイン酸誘導遺伝子アイを介した病態の解明とその制御
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22591175
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田中 完 弘前大学, 教育学部, 教授 (50271820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 忠淳 弘前大学, 医学研究科, 助教 (90232602)
吉田 秀見 弘前大学, 医学研究科, 講師 (40201008)
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Keywords | Retinoic acid-inducible gene-I / polyinosinic-polycytidylic acid / 培養ヒトメサンギウム細胞 / Toll-like receptor 3 / Interferon stimulated gene 20 |
Research Abstract |
【背景】Toll-likereceptor(TLR)3とRetinoicacid-induciblegene-I(RIG-I)はそれぞれ細胞表面,細胞質内に発現しウイルス複製時に形成される二本鎖RNA(dsRNA)を認識するセンサーである.TLR3,RIG-Iを起点とした経路の活性化は1型interferon(IFN)などの産生誘導を通して抗ウイルス作用を誘導するが,様々な細胞での炎症機構にも関わっていることが知られている.今回,ヒト培養メサンギウム細胞(MCs)におけるTLR3,RIG-Iの発現意義を明らかとする試みの一環として,ウイルスdsRNAのアナログであるpolyinosinic-polycytidylicacid(polyIC)の刺激によるシグナリングを検討した. 【方法】polyICを添加によるMCsでのINF-stimulated gene(ISG)20の発現をRT-PCR,Westermblot法,ELISA法で検討した.次にRNA干渉法でTLR3,HFN-βをknockdownさせ経路のsignalingを解析した.【結果】polyIcは濃度依存性,時間依存性にMCs上にISG20の発現を誘導した.TLR3,IFN-β,IFNregulatoryfactor(IRF)3のknockdownと抗IFNreceptor抗体はISG20の発現を選択的に抑制した.一方,RIG-1のknockdownはISG20発現を抑制しなかったが,cationnc lipidと複合体を形成させたpolyIC刺激系でのISG20発現はRIG-1のknockdownで抑制された. 【結論】MCsにおいて,ウイルスの疑似感染状態を惹起させるpolyIC刺激ではTLR3/IFN-β/IFR3/ISG20のsignalingの存在が示された.一方,細胞質内に侵入したウイルスRNAはRIG-I/ISG20経路も関与することが示唆された.感染がヒト糸球体腎炎の発症や増悪過程に関与することは知られた事実であるが,その炎症過程において,MC上での複数のsignalingの関与が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養ヒトメサンギウム細胞におけるウイルス感染を契機とする炎症進展に関わる経路の検索から,これまで報告がなされていないTLR3/IFN-β/RIG-I/CCL5,TLR3/IFN-β/IFR3/ISG20,TLR3/IFR3/fractalkine(投稿中)などの存在が示された.これらの経路の相互のつながりの詳細を明らかとすることで,ウイルス感染を契機に発症・増悪する糸球体腎炎の新しい治療戦略の構築につながる可能性が示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで検索を進めている培養ヒトメサンギウム細胞におけるウイルス感染時に活性化する経路の検討,すなわち細胞表面に発現するTLR3や細胞質内に発現するRIG-I,MDA5を介する経路,介さない経路相互のつながりの詳細を明らかとし,ウイルス感染を契機に発症・増悪する糸球体腎炎の新しい治療戦略の構築に寄与するための研究を進める.具体的には見出した新規経路の活性化抑制に働く可能性のある免疫抑制薬の効果の検討も行う予定である.
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Research Products
(5 results)