2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591207
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
小川 哲郎 昭和大学, 医学部, 准教授 (60384210)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影山 晴秋 昭和大学, 医学部, 助教 (00433839)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
|
Keywords | 胎児期のアンチエイジング / 胎児期低栄養 / 絶食 / 胎生期ストレス / DOHAD |
Research Abstract |
カロリー制限の成人および胎児に対する効果が全く逆であることに注目し、DOHaD説の責任遺伝子の網羅的検索を目的に本実験を行った。マウス胎児の低影響環境は母動物への給餌制限や低たんぱく食の給餌で行われてきたが、これらは発達遅延を起こし、解析を複雑にすると考え、まず絶食処置の影響から解析を行った。妊娠マウスを妊娠17日より絶食し、翌日に帝王切開を行い母動物および胎児から肝臓を採取した。アジレント社のチップ(Agilent mouse whole genome 4 x 44K)を用いDNAマイクロアレイ解析を行い母動物および胎児で発現が逆方向に変化する遺伝子を検索した。絶食により母動物では約6000個、胎児では約3000個の遺伝子の発現に変化が認められたが、母動物および胎児問で発現の変化が逆の遺伝子 (DOHaD責任遺伝子候補群)を211個見出すことができた。これらの遺伝子には、最近、糖代謝への関与が報告されているNeuregulin 1や長寿遺伝子Sirt1の活性化に関与すると思われるNADH dehydrogenase、ヒストンのメチル化に関与するDot1、サイトカインの一つであるIL-4等が含まれていた。さらに、母動物の50%給餌制限の影響を検討するための組織の採取を行った。この給餌制限後の解析結果を考慮してDOHaD責任遺伝子の絞り込みを行うことによりDOHaD責任遺伝子を同定し、臨床における生活習慣病予防の研究の基盤を築くことができる。さらに長寿遺伝子Sirt1の胎児組織における分布を観察し、この遺伝子が発達中のあらゆる器官で発現すること、出生後には発現が低下することを明らかにした。今後の胎児環境の影響の検討において、Sirt1は重要な遺伝子の一つであることが確認された。
|