2010 Fiscal Year Annual Research Report
表皮細胞のエピジェネティクス制御異常と免疫回避機構
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22591224
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
久保 宜明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10260069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛田 泰斗史 徳島大学, 病院, 講師 (90380039)
石上 剛史 徳島大学, 病院, 助教 (40464359)
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Keywords | 表皮細胞 / 腫瘍化 / エピジェネティクス / PD-L / 有棘細胞癌 / 皮膚線維腫 / 隆起性皮膚線維肉腫 / FGFR3 |
Research Abstract |
有棘細胞癌(SCC)などの腫瘍性病変の手術標本を用いてエピジェネティクス制御異常を調べた。PD-L(B7-H1,B7-DC)を認識する抗体を用いて、SCCの手術標本のパラフィンブロックにおいて免疫組織学的検索を行った。ほとんどのSCCにおいてPD-Lの発現が認められたが、正常表皮においてもある程度のPD-Lの発現がみられ、SCCにおける明らかなPD-L発現亢進は確認できなかった。SCCにおける免疫回避機構においてPD-Lの発現が重要な働きを担っていない可能性が示唆された。 次に表皮に脂漏性角化症様の変化を生じる良性腫瘍の皮膚線維腫とむしろ表皮は萎縮傾向にある悪性腫瘍の隆起性皮膚線維肉腫におけるエピジェネティクス制御異常を検討した。隆起性皮膚線維肉腫のほとんどにおいてCOL1A1-PDGFB融合遺伝子が検出され、成長因子であるPDGFBの高発現が腫瘍形成に重要な働きを担っていることがわかった。また、両腫瘍の表皮の変化の違いを調べるため、脂漏性角化症の腫瘍化機構に主に関与している線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)3経路の活性化の有無について検討した。皮膚線維腫の表皮では、脂漏性角化症と同様にFGFR3の高発現とその下流にある転写因子FOXN1の高発現がみられた。一方、隆起性皮膚線維肉腫の表皮には両分子の高発現はみられず、日常診療でしばしば鑑別が困難な両疾患の鑑別には表皮の変化の違いが重要な因子の1つであることがわかった。
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