2010 Fiscal Year Annual Research Report
全身性強皮症モデルマウスの皮膚硬化に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の効果
Project/Area Number |
22591245
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小川 文秀 長崎大学, 病院, 講師 (10333519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80170968)
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
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Keywords | 強皮症 / 皮膚硬化 / ピストン脱アセチル化酵素 / モデルマウス / トリコスタチンA |
Research Abstract |
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)をTSK/+マウス背部の皮膚に4週間皮下注射し、コントロールマウス(TSK/+)と皮膚の厚さを病理学的に比較検討した。コントロールマウスでは皮膚の肥厚が認められたのに対し、TSAを投与した群では皮膚肥厚は認められず、線維化の抑制が確認できた。また、それぞれのマウスから皮膚を回収し、realtime-PCR法でmRNAの発現検討を行った。その結果、線維化に重要なtype I collagenのmRNAの発現がTSA投与群では抑制されていた。さらに、TSA投与群では、線維化を誘導するサイトカインであるfibroblast growth factor, transforming growth factor (TGF)-β, IFN-γ, IL-4, IL-6の発現の抑制も確認できた。一方、それぞれのマウスから回収した血清で、抗トポイソメラーゼI抗体、IL-4, IL-6、 IFN-γの発現を検討したが、TSA投与群とコントロールで有意な差は認められなかった。以上の結果より、TSAはTSK/+マウスの皮膚硬化を抑制するこがわかったが、その効果は局所的なものであり、全身の免疫に影響を与えて皮膚硬化を抑制するものではないことが考えられた。したがって、TSAは全身性強皮症の局所治療薬になりうる可能性が考えられた。
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