2010 Fiscal Year Annual Research Report
「特定不能の広汎性発達障害」の境界と異種性についての研究
Project/Area Number |
22591311
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
神尾 陽子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 児童・思春期精神保健医療研究部, 部長 (00252445)
|
Keywords | PDD-NOS / 自閉症スペクトラム / 異種性 / 行動認知 |
Research Abstract |
本研究は、自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)という障害単位のなかで、最も自閉症症状の程度が軽度な、しかし最も頻度の高い、「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」の病態が、中核的な自閉症などと比較して、行動、認知、神経レベルで均質なのか、異質なのか、異質な群から成るとすればPDD-NOSサブタイプの行動、認知、神経レベルでの違いは何か、について明らかにすることを目的とする。平成22年度は、リクルートした児童を対象に、症状の重複が問題となる複数の発達障害サブグループと手池発達児童との認知・行動レベルの比較を行った。具体的には、日本語版Kiddie-SADS-PL第3版を用いて現在と過去についての精神医学的診断を行い、DSM-IVに従ってPDD-NOS群(n=5)、自閉症群(n=2)、ADHD群(n=4)、定型発達群(n=29)の4群に分類した。PDD-NOS群、ADHD群、定型発達群について、精神発達機能(対人(SRS)、読み、不器用(MOQ-T)、注意や衝動性(ADHD-RS)、情緒や行動の障害(SDQ))を量的に評定し、群間比較を行った。その結果、PDD-NOS群とADHD群とでは、多動・衝動性症状の程度でのみADHD群でより顕著であるという群間差が見られたが、不注意、対人行動、読みの問題の頻度や、不器用、情緒や行動面においてはすべて有意差が見られなかった。また、ADHD群を定型発達群と比較した結果でも、対人行動症状は有意に変わらなかった。したがって、PDDの中核症状である対人機能については、問題が顕著な順に、PDD-NOS、ADHD、定型発達であるが、PDD-NOSとADHD、ADHDと定型発達の間は連続的に偏移することが示唆された。同様に、ADHDの中核症状である不注意については、問題が顕著な順に、ADHD、PDD-NOS、定型発達の順となったが、ADHDとPDD-NOS、PDD-NOSと定型発達の間にはギャップがなく連続していた。来年度は、さらに症例数を増やして、PDDの中核である自閉症群との比較や、認知課題成績や神経学的指標での群間比較を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)