2011 Fiscal Year Annual Research Report
「特定不能の広汎性発達障害」の境界と異種性についての研究
Project/Area Number |
22591311
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
神尾 陽子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・児童・思春期精神保健研究部, 部長 (00252445)
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Keywords | PDD-NOS / 自閉症スペクトラム / 異種性 / 行動認知 |
Research Abstract |
PDD-NOSという診断単位が信頼性を持ち、妥当性を持って他のPDD下位診断と区別されうるか、という問いに対して、具体的には以下のような方法を用いて、検討した。(1)PDD-NOS診断の継時的安定性の検討:2歳児を対象として、前向きな発達的変化を半構造化面接を行って調べた。少なくとも1時点でPDD-NOS診断に該当した者の中には、PDD診断自体に変更のなかった者の他、発達に伴い軽減してPDD診断がはずれた者や自閉性障害からPDD-NOSに移行した者などの軽減群と、逆にPDD-NOSから自閉性障害に移行したり、非PDDだった者がPDD-NOSに診断変更となった増悪群とが半々であった。(2)PDD下位診断によるPDD中核症状程度の違いについての検討:DSM診断による自閉性障害、アスペルガー障害、PDD-NOSの群間で自閉症的対人行動の量的評価を行った結果、PDD-NOS群の男性のみ、自閉性障害と区別されたが、アスペルガー障害とは男女とも区別されなかった。(Kamio et al.,under review)(3)神経生理学的指標として、顔処理の際のVEPを測定したPDD成人、定型発達成人で、コントロールにみられたNl振幅が恐怖顔>中立顔>物というパターンはPDD群ではみられず、下位診断による違いはなかった。(Fujita et al.,under review)(5)末梢血を用いて全ゲノムアレイによる遺伝子発現解析と、リアルタイムRT-PCTを用いたバリデーションの結果、PDD群は非PDDの健常群と比較して極めて特異な発現パターンをしており、その特徴は非PDDの親族と共通点があった(Kuwano et al.,2011)。これより、DSMで定義されるPDD-NOSの独自性の根拠は見出せず、一方、症状程度は軽くても多次元レベルではPDDに特異的な特徴が確認された。
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Research Products
(23 results)
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[Book] Motion perception in autism spectrum disorder. (eds.), In A.M.Columbus (ed.), Advances in Psychology Research, Vol.82, Motion Perception2011
Author(s)
Yamazaki, T., Fujita, T., Kamio, Y, Tobimatsu, S.
Total Pages
197-211
Publisher
Nova Science Publishers, New York