2010 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に対する低用量ドセタキセルとHDAC阻害薬併用化学放射線療法の基礎的検討
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22591380
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
二宮 致 金沢大学, 附属病院, 助教 (60345618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 隆 金沢大学, 附属病院, 講師 (50262580)
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Keywords | 食道癌 / 化学放射線療法 / HDAC阻害剤 / バルプロ酸 / DNA二重鎖切断 / DNA二重鎖切断修復酵素 |
Research Abstract |
本研究は、食道癌に対する放射線感受性を増強する薬剤としてHDAC阻害薬であるValproic acid(VPA)に着目し、食道癌に対する低用量ドセタキセルとVPA併用による放射線の増強効果につきin vitr。に検討し、食道癌に対する新しい化学放射線療法の可能性につき基礎的に検討することを目的とする。平成22年度は、食道扁平上皮癌培養細胞株(TE9,TE10,TE11,TE14)を用いVPAのヒストン脱アセチル化阻害作用と放射線感受性増強効果を確認した。その結果全ての細胞株においてVPAはヒストンH3 H4のアセチル化を促進すると共に放射線感受性を増強することが明らかとなった。さらに放射線感受性増強効果のメカニズムを解明する目的で、FACSを用いたVPAによる各細胞の細胞周期の変化の確認、免疫細胞染色とWestern blotによるDNA二重鎖切断により誘導されるγH2AXのリン酸化の変化、およびWestern blot法によりDNA二重鎖切断修復酵素であるKu70,Ku80,Rad51,DM-PKcsの発現量の変化を検討した。その結果VPAはいずれの細胞においても細胞周期の割合に明らかな変化を引き起こさなかった。しかしVPA併用により放射線照射により誘導されるγH2AXのリン酸化は増強されDNA二重鎖切断が増強されていることが明らかとなった。さらにDNA二重鎖切断修復酵素であるRad51の発現はVPA投与で抑制されており、VPAは食道癌において放射線による二重鎖切断を増強しかっ、その修復を抑制することにより放射線感受性を増強させることが明らかとなった。来年度は低用量ドセタキセルとVPA併用による放射線の増強効果をin vitroおよびin vivoに検討する予定である。
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