2010 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺未分化癌細胞株の樹立と分子標的薬剤併用による抗癌剤耐性克服の基礎検討
Project/Area Number |
22591439
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小野田 尚佳 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30295703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 哲郎 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50193280)
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Keywords | 内分泌外科 / 甲状腺癌 / 細胞株樹立 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
本研究では甲状腺未分化癌細胞株を樹立、細胞の性質を明らかにするとともに、抗癌剤耐性機構の解析、新たな治療アプローチとしての分子標的薬剤併用による耐性克服の可能性について基礎的研究を行っている。 平成22年度に7株の甲状腺未分化癌細胞株(OCUT-1C,-1F,-2~6)を樹立した。それぞれの細胞を染色体分析したところヒト由来であることが確認でき、性染色体は各症例の性別と一致していた。さらに染色体の多彩な異常が認められ、48から82本の染色体が確認された。共通の異常は明らかにはできなかった。細胞の定常発育状態でのmRNAの発現解析からTTF-1、Pax8といった甲状腺特異的に発現するmRNAの発現が確認できた。OCUT-6では、調べたすべてのmRNAの発現が確認できなかった。さらに、DNAの解析から甲状腺癌に高頻度で認められるB-rafの変異をOCUT-1~5で確認したが、同様に未分化癌に多いとされるp53遺伝子の変異は確認されなかった。OCUT-6ではB-rafの変異は見られず、濾胞癌に多く認められるN-ras細胞の点突然変異が確認できた。また、細胞毎に増殖能やサイトカイン、増殖因子の分泌能に差があることも確認できた。以上より、それぞれが固有の性質を持つ、ヒト甲状腺未分化癌由来の細胞株であることが示された。 23年度はさらに、基礎的性格の検討を進めるとともに、抗がん剤に対する感受性を確認する予定である。
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