2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における内分泌治療耐性機序の解明とその臨床応用
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22591442
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
神野 浩光 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20216261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327543)
高橋 麻衣子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50348661)
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Keywords | 乳癌 / BTG2 / 内分泌療法 / タモキシフェン / 薬剤感受性 |
Research Abstract |
現在までに我々が報告を行った、細胞周期制御因子BTG2とERの関係(Kawakubo,Oncogene2004;Kawakubo,Hayashida,Cancer Res 2006)を踏まえ施行された研究の結果、ER(+)乳癌の40%に認められるBTG2高発現乳癌に対しタモキシフェン(TAM)の感受性が著しく高まるか否かを確認することを目的として研究を行った。まず始めに行った、患者60人のアレイデータ解析では、BTG2高発現症例で有意にTAM投与後の無再発生存率が高く、BTG2発現のみが有意な予後因子であった。この結果を踏まえ、臨床データを裏付けるBTG2のTAM耐性における効果・メカニズムについて、以下の通り研究を行った。まず任意にBTG2発現誘導を得るため、ER(+)乳癌細胞株MCF7にテトラサイクリン(tet)誘導系を導入し、tet存在下でのBTG2の高発現と、tet+TAMの同時添加による強い細胞増殖抑制効果を確認した。同細胞はH-Rasの導入により、マウス乳腺での腫瘍生着が得られ、飲水へtetを含有することで、腫瘍組織でのBTG2高発現が得られた。この担癌マウスへのTAM投与では、BTG2発現下においてのみ著明な腫瘍増大抑制を認め、Ki67の低下とCaspase3の亢進を認めた。in vitroの機能解析では、BTG2発現下でのみHER2およびAKTの活性化の著明な抑制が認められ、ER-HER2間のクロストークに対するBTG2による修飾が、このTAM感受性亢進に関わっていることが示唆された。本研究により、BTG2高発現乳癌ではTAM感受性が著しく亢進していることが明らかとなり、今後はTAMに対する感受性予測因子として臨床応用することを目的としていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既にBTG2陽性乳癌においてはタモキシフェンの効果が著しく高まるという現象論について証明することが完了し、現在はなぜこのような現象が生じるかというメカニズムを追求し、これについても2-3の実験を残してほぼ研究が完了する状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はBTG2によるタモキシフェン感受性の変化のメカニズムについて、ER-HER2クロストークの修飾がその原因であることを理論的・実験的に検証していく。これらを遂行すると同時並行して、我々の知見を臨床応用すべく、当施設で外科的切除された臨床検体におけるBTG2発現とタモキシフェンによるアジュバント・ネオアジュバント療法が行われた患者予後を対比していく。これにより、当初の目的であるトランスレーショナルリサーチを推進していく。
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Research Products
(3 results)