2011 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型CEACAM-1はマウス移植乳癌の血管とリンパ管新生を促進する
Project/Area Number |
22591446
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 裕子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40148432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 勝紀 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50140166)
森本 純司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90145889)
柴田 雅朗 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (10319543)
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Keywords | マウス乳癌 / リンパ管新生 / リンパ管リプログラミング / 遺伝子導入 / CEACAM-1 / Prox-1 / VEGFR-3 / LYVE-1 |
Research Abstract |
われわれは乳癌細胞が乳汁とともに分泌するCarcinoembyonic antigen-related cell adhesion molecule-1(CEACAM-1-s)は腫瘍細胞の生存・増殖、血管新生だけでなく、リンパ管新生にも関与していると考え、包括的な抗癌剤療法への応用を目的としている。昨年度までに移植乳癌においてCEACAM-1を介して毛細血管からリンパ管へのプログラミングがおこっていることを明らかにした。本年度はCEACAM-1がin vitroで血管内皮からリンパ管内皮へのリプログラミングを誘導するかを明らかにするために、株化されたマウス血管内皮細胞にCEACAM-1を遺伝子導入し、リンパ管内皮マーカーの発現を検討した。理研セルバンクより供与されたマウス血管内皮腫様細胞株、UV2細胞(BALB/cX C57BL/6のマウス血管腫から樹立されており、われわれが用いているマウス乳癌細胞と同系)にGFP-6CEACAM-1をcDNAとして4μgをliposome法で遺伝子導入した。導入24時間後に、蛍光免疫染色を行った。遺伝子導入していないUV2細胞はCD31(血管内皮マーカー)を発現するのみであった。遺伝子導入すると、UV2細胞はProx-1(リンパ管内皮転写因子),VEGFR-3(リンパ管内皮増殖因子VEGF-Cレセプター)を強く発現した。LYVE-1(リンパ管内皮マーカー)の発現が弱いため、リコンビナントのVEGF-Cを添加すると発現が増強した。以上から、CEACAM-1がリンパ管内皮転写因子を誘導、リンパ管内皮増殖因子VEGF-Cレセプターも誘導されることからリンパ管へとリモデリングされることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vivoで使用する乳癌細胞と同系の血管内皮細胞を得るために、移植した乳癌より分離することを試みたが、うまくいかず、理研セルバンクでC57BlackとBALB/cマウスの掛け合わせマウスから樹立された血管腫様細胞株UV2を見つけた。UV2とBALB/cが同系であることを証明するために、C57BlackとBALB/cのかけ合わせマウスにBALB/cマウス由来の乳癌細胞(BJMC3879)を移植して検討していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. BJMC3879(われわれが用いている高転移性のマウス乳癌細胞でBALB/cマウス由来)の培養上清にCEACAM-1が含まれているかwestern blotで検討する。 2. 血管内皮細胞UV2とBJMC3879の共培養により、リンパ管内皮マーカーを発現するか。マトリゲル培養を行い、免疫染色で確認する。 3. リコンビナントCEACAM-1の添加により、血管内皮細胞UV2はリンパ管内皮マーカーを発現するか。2と同様に培養して確認する。
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