2011 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜播種発生に関わる腹膜中皮細胞の間葉系形質転換と造腫瘍性についての実験的検討
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22591451
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伏田 幸夫 金沢大学, 附属病院, 講師 (10301194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 真市 金沢大学, 医学系, 助教 (90272955)
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Keywords | 胃癌腹膜播種 / 腹膜中皮細胞 / TGFβ / 形質転換 / 線維化 / paclitaxel |
Research Abstract |
(1)ヌードマウス皮下への胃癌細胞株と中皮細胞の混合移植は腫瘍増殖性が亢進する 可移植性胃癌細胞株MKN45をもちいてヒト腹膜中皮細胞(HPMC)との混合移植と胃癌細胞株単独移植における腫瘍増殖性の違いについて検討した。a)MKN45単独、b)MKN45+HPMC、c)MKN45+activated-HPMC (with TGFβ 5ng/ml)における造腫瘍性は、a)<b)<c)の順となった。また、皮下腫瘍を組織学的に検討したところ、a)およびb)は髄様癌であるのに対してc)はAZAN染色においてcollagenの増生を認め、線維化を伴った腫瘍であることが証明された。HPMCは予めPKH26 red fluorocent linker kitで赤く蛍光標識することによりcollagen周囲のα-SMA陽性細胞がa-HPMCであることも証明しえた。 (2)低濃度paclitaxelによる中皮細胞の間葉系形質転換の阻止実験 MTTアッセイにて中皮細胞の増殖に影響を与えないpaclitaxelの濃度を1-5nMに設定した(50nM以上で殺細胞効果出現)。TGFβ 5ng1mlを添加したHPMC(a-HPMC)は紡錘型に形態を変化させ、E-cadの発現低下やα-SMAの発現亢進などのEMT様変化を呈した。これにpaclitaxel-5nMを添加したところ、敷石様に形態は変化し、α-SMAの発現は低下した。この際にsmad2のリン酸化がpaclitaxelの濃度依存性に低下した。以上より、低濃度paclitaxelはsmad2のリン酸化を阻害することでTGFβのシグナル伝達系をブロックし、組織の線維化を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系が確立し、手技が安定したため。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍内線維化にヌードマウス由来のfibrocyteが関わっているか否かを検討したいが、マウス骨髄を照射後、蛍光標識した骨髄細胞を移植できるかどうかが問題となる。
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Research Products
(1 results)