2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異型により分類化した血管型エーラス・ダンロス症候群の治療手法の開発
Project/Area Number |
22591554
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
渡邉 淳 日本医科大学, 医学部, 准教授 (10307952)
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Keywords | 血管型エーラス・ダンロス症候群 / コラーゲン / RNAi / COL3A1 |
Research Abstract |
血管型エーラス・ダンロス症候群(血管型EDS)は、COL3A1遺伝子の変異で発症する常染色体優性遺伝病である、本症候群は血管破裂を合併し、時に突然死を呈す。根本的な治療法はなく、血管脆弱性が強く対応が難しい。研究者は、これまでに、血管型EDS患者のCOL3A1遺伝子変異を同定してきた。多くは、1)グリシンのミスセンス変異あるいはイントロン変異であり、ともに変異産物が正常産物を阻害(dominant negative)する。加えて、2)変異RNAが消失し、半量のCOL3A1で疾患が起きるナンセンス変異を同定した。本研究では血管型EDSの変異型に基づき、COL3A1変異アレルをRNAiにより発現抑制し、正常COL3A1の増加をRNA、蛋白、細胞レベルで解析、安全性も含め検討し、これまで治療法のない血管型EDSに対する治療の可能性について臨床応用に向けた基礎的研究成果を集積することを目的とする。 平成23年度は、1)、2)に対しては、これまでにRNA干渉ならびに、正常転写産物の増加を目指した系を確立した。さらに、血管型EDSを発症し、スプライシングを来す新規COL3A1遺伝子変異型を同定した。この変異は、1)2)と異なり、遺伝子変異を修復できる可能性があり、発症メカニズムの解明のためのin vitroでの実験系を作成し、in vitroにての再現性を見た。続いて、変異部位を標的として修復を可能とするアンチセンスオリゴを作成し、in vitroでの実験系ならびに線維芽細胞への遺伝子導入により修復の可能性につき検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療手法の発現ベクターの作成は途中であるが、本研究は、遺伝子変異型により分類化した血管型エーラス・ダンロス症候群の治療手法の開発であり、申請時に想定できなかった新たな変異型を発見し、それについての治療法の方策について進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成24年度はこれまでの研究を基にCOL3A1各変異型・発症メカニズムごとに,血管型EDSに対する治療として評価できるよう以下の4つの研究について検討を加える。1)変異産物が正常産物を阻害するdominant negative変異(グリシン変異,イントロン変異)、2)半量のCOL3A1で疾患が起きる(haploinsufficiency)変異(ナンセンス変異)、3)遺伝子修復が期待される変異の3つの変異型に分類し、4)siRNAならびに3型コラーゲン増加候補遺伝子を長期発現できる系の確立を目指す。
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Research Products
(3 results)