2011 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全大動物モデルを用いた幹細胞治療基盤の確立
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22591557
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
豊田 雅士 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (50392486)
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Keywords | 再生医療 / 幹細胞 / 疾患モデル / 心不全 |
Research Abstract |
幹細胞研究の進展によって、再生現象に基づく細胞移植医療(再生医療)に利用可能な細胞の種類とその対象疾患が増えている。その中で我々は特に羊膜由来の細胞に着目している。羊膜は医療廃棄物として処分される胎児関連組織の一つであり、免疫学的にも特殊な性質を有し、心筋への分化能が高く心筋再生医療の細胞ソースの一つとして考えられる。しかし実際に臨床応用するためには安全性や有効性を示しておく必要がある。これまで幹細胞移植の研究はマウスを用いたin vitroやin vivoでの研究を基礎として、ヒト細胞での検証を行ってきており、in vivoでの実験は他種であるマウスなどの実験動物を用いている。移植法や免疫拒絶の問題、分化誘導法や移植細胞の生着率、腫瘍化などについては臨床で想定される自己または同種幹細胞移植による中長期的にわたる検証システムが必要であり、本来は中大動物を使った実験が求められる。そこで我々は羊膜細胞を用いた再生医療への取り組みとして、ブタを用いた大動物モデルによる同種羊膜由来細胞移植の検討を進めている。 本年度は、ブタ羊膜由来の細胞の安定培養システムの構築を行った。さらにそれに基づいて、増殖性や細胞表面抗原解析を行い、ヒト羊膜由来細胞の特性と比較した。その結果、ほぼ同等なことがわかった。一方ブタを用いた心筋虚血モデルの作製を試み、虚血4週間後における心機能評価を行い、心不全状態にあるかどうかを調べた。その結果、ヒトの心不全病態と同様な心不全様の機能低下を認めた。 これらの結果に基づき、ブタ羊膜由来細胞もしくは生理食塩水を虚血心の後下壁に直接注入し、4週後に心機能評価ならびに移植した細胞の病理組織学的検討を行う実験プロトコールを作成し、それにそった検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大動物モデルとなるブタの間葉系幹細胞の樹立を行い、さらに樹立した細胞の特性評価を進めた。その結果、ヒトとほぼ同等であることを示した。さらに幹細胞移植対象疾患である心不全モデルとなる大動物モデルの作製を確立し、心機能評価でそれを認めることができた。このことから本年度の進捗は計画通り順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度までに確立した成果に基づき、心不全モデルのブタに対して、同種移植による幹細胞移植治療を行っていく。移植による効果を、心機能評価に加え、組織学的な面からも検討し、移植細胞の動態についても検証
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Research Products
(4 results)