2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子移入骨髄幹細胞とコンドロイチナーゼABCを利用した哺乳動物脊髄再生
Project/Area Number |
22591630
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平野 健一 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50566974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今釜 史郎 名古屋大学, 医学部付属病院, 助教 (40467288)
安藤 圭 名古屋大学, 医学部付属病院, 医員 (40566973)
田内 亮史 名古屋大学, 医学部付属病院, 医員 (50584744)
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Keywords | 脊髄再生 / コンドロイチナーゼABC / 脊髄損傷 / 骨髄幹細胞 / GDNF / 遺伝子導入 / ケラタナーゼ |
Research Abstract |
【目的】ラットにおいて、脊髄損傷後のコンドロイチナーゼABC投与が運動・知覚機能不全の改善作用を及ぼすことはこれまでに示された。同様のことが、哺乳脊椎動物ビーグル犬において確認された(n=1)。 今年度は、検討個体数をn=3としてさらなる検討を加えた。 【方法】ビーグル犬の脊髄損傷モデルを作製し、クモ膜下にコンドロイチナーゼABC(0.2U/200μl)を充填した。浸透圧ポンプ(Alzet osmotic pump)を使用し損傷直後から、14日間髄腔内に持続投与した。対照群には生理食塩水を投与した。また、同時にビーグル犬骨髄間質細胞にヌクレオフェクション法を用いてGDNF(グリア由来神経栄養因子)を強制発現させたものを脊髄損傷空洞部に移植した。 【結果】<後肢運動神経機能評価>3分間歩行させ、グリッドを下肢でグリップできた割合を%グリップ値とした。コンドロイチナーゼABC投与群(似下ABC群)において、生理食塩水投与群と比較して%グリップ値が高値を示し、ABC群における後肢運動神経機能回復が確認された。 (後肢知覚神経機能評価)ビーグル犬後肢を55℃に温めたホットプレートの上に載せ、後肢を放すまでの時間を計測した。生理食塩水投与群では、損傷前に比して、損傷後、経時的に反応時間が短縮していき、熱刺激に対して過敏反応を示した。一方、ABC群では、損傷早期には生理食塩水投与群と同様の傾向を示したが、損傷3週間後から5週間後には徐々に過敏反応は軽減し、損傷8週後には、損傷前とほぼ同程度の反応時間となり、知覚神経機能回復の回復が認められた。 【考察】醤歯類と同様、脊髄損傷後のビーグル犬においてもGDNF発現骨髄幹細胞とコンドロイチナーゼABCの効果が期待できる。我々は、コンドロイチン硫酸以外にもケラタン硫酸の脊髄再生阻害作用についても証明した(J Neurosci. 2010 28;30(17):5937-47)。コンドロイチン硫酸分解酵素であるコンドロイチナーゼABCの有効性に加え、ケラタン硫酸分解酵素であるケラタナーゼの有効性についても、今後検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに進行していると判断している
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Strategy for Future Research Activity |
コンドロイチン硫酸分解酵素であるコンドロイチナーゼABCの有効性に加え、ケラタン硫酸分解酵素であるケラタナーゼの有効性についても、今後検討を加える予定である。
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