2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591636
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
西良 浩一 帝京大学, 医学部, 准教授 (10304528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出沢 明 帝京大学, 医学部, 教授 (90237024)
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Keywords | 黄色靭帯 / 腰部脊柱管狭窄症 / ペントシジン / コラーゲン架橋 |
Research Abstract |
昨年度、黄色靭帯肥厚が肥厚性瘢痕との類似性について、免疫染色的評価を中心に行った。結果として黄色靭帯肥厚は、肥厚性瘢痕に類似した線維増殖性組織変化が主体であることを示した。 本年度は、肥厚が高齢者に限局し、若年者には少ないことに着目した。靭帯の伸長性が加齢とともに低下することが易損傷性をもたらし、結果として、瘢痕形成となるとの仮説を立てた。黄色靭帯には、弾性線維と膠原線維がある。膠原線維は加齢により線維間を連結する架橋に変化が生じ、弾性性が落ちるといわれている。そこで、加齢性架橋(悪玉クロスリンク)の代表であるペントシジンの生成について免疫染色を使用して評価した。高齢者から得られた肥厚靭帯6検体と若年2検体の染色性を比較検討した。 若年者のヘルニア手術中から得られた薄い黄色靭帯にもペントシジンの染色性は確認されたが、部分的であった。一方、高齢者の肥厚黄色靭帯には瘢痕組織の増生が確認された。とくに瘢痕形成は、靭帯の背面に顕著であった。ペントシジンの染色状況を見てみると、全体に染色されていたが、線維化、瘢痕化の強い背面部分では、染色度は強かった。 以上より、高齢化に伴い、靭帯のマトリックスの一成分であるコラーゲンには、悪玉架橋といわれるペントシジンが生成されることが示唆された。この悪玉架橋により靭帯の伸縮性が低下し、易損傷性となる。損傷靭帯の修復過程において瘢痕が形成され、その蓄積により黄色靭帯には肥厚がもたらされることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に遺伝子解析を行うことで、当初の予定が遂行可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
靭帯の瘢痕化、悪玉架橋の分布状況を鑑み、靭帯の背側と腹側に生じる遺伝子発現の差異を検討することが、肥厚メカニズムの根底の解明に近づくことが明らかとなった。以上より、本年は、靭帯の背側と腹側の遺伝子発現の差異をマイクロアレイを用い、網羅的に解析する。興味ある遺伝子に関しては、その組織上発現分布をin situ hybridizationを用い、また、タンパク生成は免疫染色を用い評価する。
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