2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591647
|
Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
中塚 映政 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (30380752)
|
Keywords | 疼痛学 / 脳・神経 / 神経科学 / 生理学 / シグナル伝達 / 脊髄 / グリア / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
正常ラットならびに末梢神経障害モデルラットの脊髄横断スライス標本にアストロサイトから放出される伝達物質D-serineを灌流投与し、その効果を調べた。記録ニューロンにホールセル・パッチクランプ法を適用して、-50mVの電位固定下にNMDA(50μM)を30秒間投与すると、一過性で内向きのNMDA電流が発生した。このNMDA電流の振幅をD-serine (5mM)存在下と非存在下において比較した。D-serine存在下におけるNMDA電流の平均振幅は184pAであった。一方、D-serine非存在下におけるNMDA電流の平均振幅は134pAであり、D-serineによりNMDA電流の振幅は有意に増加した。このことより、D-serineがラット脊髄後角シナプス後ニューロンに存在するNMDA受容体の活性化を増強することが示唆された。0mVの電位固定下にD-serine (5mM)を30秒間投与すると、記録した全ての膠様質ニューロンにおいて、一過性の外向き電流を生じた。様々な濃度でD-serineによる外向き電流の振幅を調べると、D-serineの濃度依存性にその振幅は上昇し、100μMではD-serineの外向き電流の殆ど効果は観察されなかったが、濃度の上昇に伴い振幅は上昇し、20mMにおいても振幅の上昇率はピークに達していなかった。次に、固定電位を変化させてD-serineによる電流変化を調べたところ、その逆転電位は-70mV付近であった。さらに、グリシン受容体の拮抗薬であるStrychnine(2μM)存在下においてD-serine誘起の外向き電流は阻害されたことから、D-serine誘起電流はグリシン受容体を介していることが示唆された。
|