2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミダゾラムの樹状細胞に対する抑制作用の分子機序の解明
Project/Area Number |
22591708
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 幸子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20276710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 典之 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379162)
藤野 裕士 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50252672)
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Keywords | 樹状細胞 / ミダゾラム / プロポフォール / インターロイキン12 / 接触過敏症 / 副刺激分子 / ELISPOT法 / MHCテトラマー |
Research Abstract |
(1)ミダゾラムの樹状細胞に対する抑制作用が個体レベルでの免疫応答に影響を与えるか否か これを前年度は樹状細胞の移植によって発症する接触過敏症モデルを用いて明らかにした。本年度はこれに引き続き生体防御という観点でこれを明らかにするために、腫瘍の排除モデルを確立しその解析系の確立に務めた。OVAを腫瘍抗原としてもつ腫瘍細胞細胞株EG7を用い、これをマウスに移植すると腫瘍は増大しつづける。マウスにOVAを取り込ませた樹状細胞によって免疫することで、EG7腫瘍はマウスから排除されるという系を作成した。更にこの系の解析系としてOVAに対する抗原特異的応答の検出系を確立した。OVA特異的ELISPOT法によるIFN-gamma産生T細胞の検出系、OVA特異的テトラマーによるOVA特異的なCD8特異的T細胞の検出系、OVA特異的なIgM,IgGの検出系の3種類を確立した。現在はこれらの検出系を用いて腫瘍細胞に対するDC免疫の結果を解析しているところである (2)プロポフォールの樹状細胞に対する作用の解明 鎮静薬としてミダゾラムと並び広く使用されているプロポフォールの樹状細胞に対する作用に関しても解析を行った。今までに検討したミダゾラム、ケタミンが樹状細胞に対してどちらかと言えば抑制性の作用を示すのに反して、プロポフォールは樹状細胞に対して刺激性の作用を示すことを明らかにした。すなわちプロポフォールは主要組織適合抗原複合体、副刺激分子(CD80, CD86)の発現を増強させ、インターロイキン12の分泌を増加させた。これらのプロポフォールの作用の個体レベルでの免疫系への影響を明らかにするために樹状細胞の移植によって発症する接触過敏症モデルを用いた解析を行った。プロポフォールで処理した樹状細胞によって接触過敏症反応は対照群と比較して増強した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ミダゾラムの樹状細胞への抑制作用の個体レベルの免疫系への影響の解析をより詳細に行うことを、現在は目標としてそれを可能とする複数の解析系を確立し、現在その解析を進めているところである
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はプロポフォールの樹状細胞に対する抑制作用のメカニズムをLPSのシグナル伝達系への影響の解析から明らかにする。本年度はミダゾラムに加えて、GABA受容体を介した麻酔作用を発揮するプロポフォールの樹状細胞に対する作用についても検討を始めた。これはミダゾラムとは対照的にプロポフォールは樹状細胞の機能を刺激するという興味深い知見を得たからである。麻酔薬一般的に免疫担当細胞に対して抑制性の作用を発揮することを考慮しても興味深くさらなる検討の価値があると考えている
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