2011 Fiscal Year Annual Research Report
周閉経期の内分泌・免疫学的変化が閉経後の代謝に与える時間的影響についての検討
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22591857
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安井 敏之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40230205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
苛原 稔 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
山本 哲史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (40346599)
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Keywords | 周閉経期 / エストロゲン / テストステロン / 性ステロイドホルモン結合グロブリン / インスリン抵抗性 / サイトカイン / anti-Mullerian hormone |
Research Abstract |
平成23年度は、「研究実施計画」に従って検討を行い、下記の研究結果を得た。 (1)男性ホルモンとサイトカイン、接着因子、血管炎症マーカーとの関連について テストステロンに関して、高感度CRP、接着因子(VCAM, ILAM, E-selectin)との間には、閉経前、周閉経期、閉経後いずれの時期においても有意な関連はみられなかった。しかし、閉経後女性においてはテストヌテロンとアデイポネクチンとの間に有意な負の相関関係が存在することを見いだした。なお、男性ホルモンであるデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)とサイトカイン、接着因子、血管炎症マーカーとの間には有意な関連を見いだすことはできなかった。 (2)周閉経期および閉経後女性におけるサイトカインやケモカインと骨吸収マーカーとの関係について IL-7と新しい骨吸収マーカーの1つであるTRAP-5bとの間に有意な負の相関関係が存在するこ「とが明らかとなり、これまで動脈硬化の進展過程に関与すると考えられてきたIL-7が骨代謝に関与する可能性が示され、骨と血管との間をつなぐサイトカインとして新たな検討を計画している。 (3)子宮筋腫にてGnREアゴニストを施行した女性におけるインスリン抵抗性の変化およびサイトカインの変化 GnRHアゴニスト施行によってエストロゲンが低下するとともに、インスリン抵抗性の指標であるHOMA indexは増加した。しかし、この変化は内分泌学的にエストロゲンの変化率とは相関しなかったが、テストステロンリ変化率とは傾向があり、SHBGとも傾向を認めた。また、もともとインスリン抵抗性がある女性では血管炎症マーカーの増加がみられた。さらに、サイトカインとしてMCP-1の有意な増加が認められた。 (4)閉経前から周閉経期、そして閉経後にかけての内分泌パラメーター、サイトカインおよびケモカイン、動脈硬化関連因子の動態についてめ前向き研究 インフォームドコンセントによって同意の得られた閉経前女性について、上記パラメーター、サイトカイン、ケモカイン、動脈硬化関連因子を測定し、経時的に経過観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にそって、それぞれの研究内容はおおむね順調に進展している。特に、GnRHアゴニスト投与における検討については、順調に対象者のリクルートが行われ、検体の測定、解析をすすめることができ、結果についても英文論文として投稿し、acceptされた。また、閉経前女性が周閉経期を迎える縦断的検討においては、周閉経期女性の内分泌学的変動は大きく、月経が不規則となり稀発月経となっても、しばらくすると月経の回復がみられることもあり、個人差が大きいために自然の閉経過程をみていくことに時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に基づき、 1)横断的検討においては症例数を増やし、検体を測定するとともに解析を始める。 2)縦断的検討においては、閉経に至る過程には個人差があり、時間をかけて定期的に経過をみて検査を施行する。 3)ahti-Mullerian hormoneとサイトカインや骨代謝、脂質代謝、血管機能との関係については、閉経前5年においてすでにanti-Mullerian hormoneの値が感度未満となっていることから、もう少し年齢層を広げて検討を行う。 4)総合的に、自然のエストロゲン減少により閉経に至る過程での内分泌動態、サイトカイン変化、骨代謝、脂質代謝、血管機能の変化は、手術やGnRHアゴニストといった薬物による人工閉経とは異なるかどうかを検討する。
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Research Products
(12 results)