2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591924
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 准教授 (40203583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 講師 (20299514)
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 教授 (70196228)
上田 祥久 久留米大学, 医学部, 講師 (20299415)
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Keywords | 一側声帯麻痺 / 声帯内脂肪注入術 / 甲状軟骨形成術I型 / 音声検査 |
Research Abstract |
【目的と意義】一側声帯麻痺症例に対する音声改善手術では甲状軟骨形成術I型±披裂軟骨内転術施行群よりも、声帯レベル差がない症例では声帯内脂肪注入術が空気力学的・音響分析検査上も安定して良好な音声を獲得できることを過去に証明した。しかし、実際の臨床において声帯のレベル差がない一側反回神経麻痺に対する手術は声帯内脂肪注入術と甲状軟骨形成術I型である。この2つの術式での音声改善の違いを比較検討する必要性が生じた。【方法】声帯内脂肪注入術と甲状軟骨形成術I型を施行した症例を対象とし、音声検査として術前後のMPT,MFR,FOrange,SPLrange,PPQ,APQ,NNEaをパラメータとして各術式の手術前・後の音声検査をpairedt-testで比較検討した。さらに、各術式を施行した症例の音声改善度に差があるか否かを比較するため、各パラメータの術前値を調整因子として用いた共分散分析を用いて比較した。【結果】声帯内脂肪注入術と甲状軟骨形成術I型はどちらもすべてのパラメータで術後は術前と比較して有意な改善が得られた。また、各パラメータの術式間における改善度はMPT,MFRの空気力学的検査でのみ声帯内脂肪注入術が甲状軟骨形成術I型より有意に良好な改善を示した。しかし、音の高さ域・強さ域を示すFOrange,SPLrange、音響分析を示すPPQ,APQ,NNEaは改善度に有意差はなかった。【考察】MPT,MFRの空気力学的検査でのみ声帯内脂肪注入術が甲状軟骨形成術I型より有意に良好な改善を示したのは甲状軟骨形成術I型を施行した症例は声帯内脂肪注入術を施行した症例より肺癌による反回神経麻痺症例が有意に多かったためと考えられた。【結論】一側声帯麻痺に対する声帯内脂肪注入術と甲状軟骨形成術I型はどちらも、術後長期に渡って音声改善効果が充分に維持される手術療法であることが確認された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床や他の研究と学会発表、大学での雑務に追われ、研究と発表が遅れている。また、声帯瘢痕や溝症に対する手術を希望する症例が少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
(推進方策)一側反回神経麻痺症例における声帯内脂肪注入術症例と甲状軟骨形成術1型症例における術前・術後のwidth ratioとbowing ratioの比較を行う。また、声帯内脂肪注入術症例と甲状軟骨形成術I型症例+披裂軟骨内転術症例における術前・術後のwidthratioとbowingratioの比較を行う。さらに、披裂軟骨内転術または甲状軟骨形成術1型症例+披裂軟骨内転術において声帯レベル差がどの程度是正されたかの評価を行う。 (研究計画の変更)声帯内脂肪注入術において、注入する適正量についての報告がない。そこで、脂肪注入量からみた音声と声帯形態上の改善を検討する必要性が生じたため、現在、研究を行っている。
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Research Products
(4 results)