2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591929
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三田村 佳典 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30287536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香留 崇 徳島大学, 病院, 助教 (50464342)
長澤 利彦 徳島大学, 病院, 助教 (00511338)
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Keywords | 外科 / 細胞・組織 / 生体分子 / 糖尿病 / 臨床 |
Research Abstract |
前骨髄球性白血病腫瘍抑制因子(PML)は白血病において腫瘍抑制機能を有する因子として発見され、癌組織では血管新生の亢進とともにPMLの発現が抑制されていること、PMLが血管新生の抑制を引き起こすことがわかっている。増殖糖尿病網膜症の増殖膜など血管新生が促進されている組織ではPMLの発現低下が推定され、糖尿病網膜症治療への応用が期待される。本年度の研究成果は、 1.ヒト増殖糖尿病網膜症症例の硝子体手術に得られた増殖膜サンプル34検体とコントロールとして新生血管を伴わないヒト特発性黄斑上膜38検体についてPML mRNAの発現を調べるため定量的RT-PCRを行った。増殖糖尿病網膜症ではPML mRNAの発現が相対値で9.03±5.86%であったのに対してコントロールでは100.0±29.6%と、増殖糖尿病網膜症においてPML mRNAの発現が有意に低下していることが示された。このことから、糖尿病網膜症においては,眼内のPMLの発現が低下している可能性が推測された。 2.徳島大学病院倫理委員会の承認ならびに患者さんの承諾を得たうえで、増殖糖尿病網膜症ならびにコントロールとして黄斑円孔・黄斑上膜症例の硝子体ならびに前房水検体72検体を硝子体手術時に眼内還流液の還流を始める前に採取し、ELISA法による硝子体・前房水PML濃度の測定を行った。前房水については、増殖糖尿病網膜症では0.032±0.007ng/mlであったのに対してコントロールでは0.049±0.004ng/mlと増殖糖尿病網膜症において有意に前房水PML濃度が低かった。また、硝子体についても増殖糖尿病網膜症では0.026±0.005ng/mlであったのに対してコントロールでは0.050±0.007ng/mlと増殖糖尿病網膜症において有意に硝子体PML濃度が低かった。これらの結果はPMLが糖尿病網膜症の眼内で発現が低下していることを示し、PMLが糖尿病網膜症の治療に有用である可能性を支持する結果と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、増殖糖尿病網膜症の眼内でのPML発現の低下をmRNAレベルならびにたんぱく質レベルで統計学的に証明することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
増殖糖尿病網膜症の病因に強く関与している因子として血管内皮増殖因子(VEGF)があげられるが、眼内のPML濃度とVEGF濃度との関係を探索し、両者が負の相関を示すかどうか確認したい。また、培養系を用いたPMLによるサイトカイン発現の変化の検討として、糖尿病網膜に類似な培養条件下での初代培養細胞(グリア細胞)からのVEGF分泌に対するPMLの影響について検討したい。
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Research Products
(2 results)