2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22591951
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
佐竹 良之 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60385143)
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Keywords | 移植・再生医療 / 眼表面再建 / 血管新生 |
Research Abstract |
当施設で作製している培養口腔粘膜上皮シートには羊膜を基質として用いているもの(AM(+)シート)と基質を持たないもの(AM(-)シート)とがあり、臨床経過としてAM(-)シートの移植後では血管侵入が少ない傾向にある。このような傾向を示すメカニズムを解明するため、本年度においてはウサギ角膜に輪部機能不全モデルを作成し、培養口腔粘膜上皮AM(+)シート、AM(-)シートの移植を行ない、眼表面の観察ならびに組織においけるシート間の違いについて検討した。移植1週間後において、AM(+)シート移植眼では移植上皮シートの定着性が悪く、周辺部からの血管侵入が多く観察された。一方、AM(-)シート移植眼では眼表面がスムーズで透明性を維持した状態を観察することが出来た。組織学的検討では、AM(+)シート移植眼では移植上皮シートと角膜実質との接着性が悪く、所々でシート下に細胞が侵入している像を観察した。基底膜成分であるCollagen IVとlamininを染色したところ、AM(+)シート移植眼で基底層を2重に観察されるところが存在した。また、TUNEL染色で移植上皮のアポトーシスを確認したところ、両眼表面の組織間で大きな違いは認めなかった。以上のことから、臨床で見られる血管侵入はウサギモデルで観察されたように、移植した上皮シートと角膜との接着性に問題があり、そのスペースに細胞浸潤等が起こり、これに起因して血管侵入を起こすという一つの可能性も考えられた。今後、培養口腔粘膜上皮移植後に視力向上目的に行う二期的角膜移植時に採取できる角膜組織を用いて血管新生因子等の発現様式について検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに血管新生因子の大きな違いは観察されていないが、血管侵入を起こすメカニズムの一つとして、移植したシートと角膜との間のスペースに原因がある可能性があげられたことは大きな進歩であると考えられる。また、臨床の検体等についても継続して採取しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においても引き続き上皮シートを用いた眼表面再建術、術後経過観察での臨床データ収集、二期的手術時の移植した培養上皮シートの検体採取を中心に行なう。1年目、2年目で得られた知見を上皮シート作成時の培養条件見直しや、手術時の培養上皮シートの選択などの判断材料になるかどうかの検証も行ない、術後成績の向上につながるように努める。
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