2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591964
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大月 洋 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70093672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 玲華 岡山大学, 岡山大学病院, 医員 (40301296)
宮田 学 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (00548505)
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Keywords | 上斜筋麻痺 / 眼窩プリー / 斜筋手術 / 遺伝子多型 / Bielschowsky頭部傾斜試験 |
Research Abstract |
1.上斜筋麻痺の分子病態の解析:特発性上斜筋麻痺の遺伝子型と表現型との関係を明らかにするために、ARIXとPHOX2B遺伝子多型を遺伝子型として上斜筋麻痺37名を対象に検索をおこなった。ARIX and/or PHOX2B遺伝子多型を認めた15名では、多型を認めなっかたほかの20名に比べて麻痺眼/健眼の上斜筋断面積比が統計学的に有意に大きくなることを見出した(p=0.017。一方、ARIX and PHOX2B遺伝子多型を認めた症例では上斜筋の低形成の割合は小さかった。この結果から、ARIX and PHOX2B遺伝子多型と形態学的な異常との関連が示唆された。2.上斜筋麻痺における眼窩プリーの解析:超高磁場MRIを利用して7名の正常日本人、および10名の上斜筋麻痺を対象に眼窩4直筋プリー、および上斜筋麻痺にたいする斜筋手術の4直筋プリーに対する影響を撮像画像をもとに画像解析した。その結果、正常日本人の4直筋プリー組織の眼窩中心に対する相対的位置については、欧米人のそれに比べて有意な差がないことを明らかにした。上斜筋麻痺に対して行われる下斜筋減弱手術、上斜筋増強手術は4直筋プリーに対して影響を示さなかったが、下斜筋増強手術は、水平、上下直筋プリーの位置偏位を生じさせた。すなわち、斜筋によって生じた眼球の前後軸まわりの回旋偏位の角度と4直筋プリーの傾斜(捻じれ)角度との間には相関がみられ、その割合は5度の眼球回旋に対して4直筋プリーの捻じれ1度であった。これらの結果から、眼窩の4直筋プリー組織は、外眼筋手術によって生じる眼球回旋に対して頑強性を有する結合組織であることが示唆される。3.上斜筋麻痺におけるBielschowsky頭部傾斜試験の解析:88名の上斜筋麻痺の2病型を対象に下斜筋減弱手術の矯正効果を比較した。内訳は麻痺上眼固視27名、患眼固視61名であり、全例に患眼の下斜筋手術を行い、正面位、患側頭部傾斜時、および患側・健側頭部傾斜時の上下偏位に対する効果を2病型で比較した。その結果、2病型間で有意差がないことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書類に記載した3目標、上斜筋麻痺の分子病態の解析、眼窩プリーの画像解析については、その成果を平成23年度内に論文として作成したので一応の目標が達せれられたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
上斜筋麻痺を含む眼筋麻痺を対象に、visual function 14 questionnairs(VF-14)スコアを用いてQOLを解析し、さらに同疾患を対象に行う手術治療の費用効用分析を他の眼疾患に対して行うそれと比較を行う。また現在進行中のsynoptometerを利用した3次元眼球運動解析による上斜筋麻痺のLlisting平面の形状解析の研究を進める。
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Research Products
(6 results)