2011 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経損傷による神経因性疼痛発症メカニズムの研究
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22592035
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
杉本 朋貞 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50135729)
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Keywords | 神経切断 / 三叉神経 / c-Fos / 脊髄路核 / 尾側亜核 / 吻側亜核 / 神経障害性疼痛 / 舌神経 |
Research Abstract |
脛骨神経切断により、ラット後肢足部の部分的除神経を行った。3日後に足部に侵害性熱刺激を加え、2時間後に第5腰髄の組織切片にc-Fosタンパクの免疫組織化学染色を施すと、正常ラットの刺激と比較して後角表層に誘発されるc-Fos陽性ニューロンの数が減少した。切断2週間後に同様の刺激を行うと、3日後と比較してc-Fos陽性ニューロンの数が大幅に増加したことから、この時期には脊髄後角の侵害受容2次ニューロンが、総腓骨神経を経由する侵害情報に対し、c-Fosの過剰応答を現すことが示された。切断2週間後、刺激の直前に腓骨頭付近の皮下にCCPA溶液を投与した場合、後角2次ニューロンにおけるc-Fosの誘発が有意に抑制された。この効果が生理食塩水投与によって得られなかったことから、CCPAはその生理活性によってc-Fosの過剰応答を抑制したと考えられる。またこの効果はCCPA投与側にみられたものであり、血行を介しての全身的な拡散によるものではなく、CCPA投与部位付近の局所的な作用によるものと考えられる。本研究でCCPAの皮下注射を行った腓骨頭の前下方は、後肢足部皮膚を支配領域に含む総腓骨神経が皮下の浅層を通過する部位に相当するため、CCPAは総腓骨神経に含まれる1次侵害受容ニューロンの興奮性を低下させることによって、侵害性熱刺激に対する応答を抑制したものと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在印刷中であるため、2011年度の論文発表には記載しないが、2010年度に実施した研究の成果のとりまとめが完了し、すでに学術論文として受理された。一方、脛骨神経の切断実験を行った結果、三叉神経系の神経損傷による三叉神経尾側亜核での変化に類似した結果がえられたため、CCPAの効果を検証するために適切な動物実験モデルを確立することができた。また、このモデルを用いてCCPA投与の実験を開始することができ、その結果、CCPAが脊髄後角でのc-Fosの過剰応答を抑制する傾向が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
脛骨神経切断後のCCPA投与が脊髄後角でのc-Fosの過剰応答を抑制するとの、今年度の予備実験に対し、実験例数の追加を行う。また、この実験に対する種々の対照実験を行う。 また、これらの結果を取りまとめ、公表する。計画の遂行にあたって大きな障碍はなく、研究計画の大幅な変更はない。
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Research Products
(6 results)