2010 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質接着界面に生成したう蝕抵抗層(ABRZ)とナノリーケージとの関係
Project/Area Number |
22592116
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00251538)
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Keywords | 象牙質の接着 / Acid-base resistant zone / ナノリーケージ / ボンディング材 |
Research Abstract |
象牙質接着界面のう蝕抵抗性は、修復物の二次う蝕を抑制し、修復物の寿命を向上させる上で重要である。しかし、接着材料と象牙質との界面にはナノレベルの欠陥(ナノリーケージ)が存在し、比較的小さい物質やイオン、水等が容易に通過して接着耐久性に影響を及ぼすことが指摘されている。一方、研究代表者は、接着界面のう蝕抵抗性について検討し、樹脂含浸層直下にう蝕抵抗層としてのAcid-base Resistant Zone(以下ABRZと略記)が存在することを報告してきた。 本研究の目的は、各種接着システムにおけるABRZの形成とナノリーケージとの関係について透過電子顕微鏡(TEM)観察を行い、その形態学的な関連性について解明することである。実験にはヒト抜去臼歯を用い、咬合面象牙質を露出した後、耐水研磨紙#600を用いて研削した。その後、ボンディング材として2ステップセルフエッチング接着システムであるクリアフィルメガボンド(クラレメディカル)とオールインワン接着システムであるトクヤマボンドフォース(トクヤマデンタル)を業者指示に従って接着し、接着試料を作製した。試料は、水中浸漬後、接着界面に垂直に薄切し、50%アンモニア性硝酸銀溶液に24時間浸漬した。その後、8時間蛍光灯下で現像後、人工脱灰液(pH4.5)で90秒間、さらに5%次亜塩素酸ナトリウムで20分間処理した。さらに、通報に従ってTEM試料を作製し、ABRZとナノリーケージのTEM観察を行った。その結果、各接着システムにおいてナノリーケージの存在が確認されたが、ナノリーケージの発現部位は接着材料によって異なることがわかった。本研究の成果は、ABRZの形成メカニズムを解明するために大きな示唆に富むものである。
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