2011 Fiscal Year Annual Research Report
なぜ顎筋のストレッチ療法は慢性疼痛に効くのか? -顎筋粘弾性の検討-
Project/Area Number |
22592156
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鳥巣 哲朗 長崎大学, 大学病院, 講師 (80264258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 比呂司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40229993)
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Keywords | 慢性疼痛 / Eccentric運動 / 低強度咬みしめ / temporal summation / 顎筋 / 疼痛感受性 |
Research Abstract |
本年度は研究目的の柱の一つであるEccentric運動負荷装置の開発を中心に研究計画を実行した。 被験者に実験条件以外の不快症状や傷害を生じさせないように試作を繰り返し、負荷運動開始位置および負荷運動移動距離が変更可能でさまざまな実験条件に対応できるような負荷運動装置を製作できた。 一方、筋粘弾性にはストレスや自律神経活動レベルが関与するため、加速度脈波計を用いて7ppmカプサイシン溶液での洗口負荷時または、4℃冷水への手掌浸漬負荷時の自律神経活動レベルおよび精神的ストレスの評価を試みた。カプサイシンでは著明な変化は生じなかったが、冷水刺激ではLF(0.04-0.15Hz)の増加が生じ、自律神経活動レベルの変化を反映しているものと推測された。 これらの結果はEccentric運動負荷時のストレス/自律神経活動レベルの評価において重要な指標として用いることができる。 さらに当研究のターゲットである顎口腔系の慢性筋痛の発現には、持続的な低強度かみしめが関与している事が示唆されている。 そのため低強度かみしめによる疼痛感覚の変調に関して調査を行った。 4連続電気刺激法によるtemporal summtionにおいて、2Hz刺激時ではかみしめ後に加算効果が生じにくくなった。一方第1刺激に対する疼痛レベルには運動の影響は見られなかった。 これにより低強度かみしめは中枢における疼痛感受性に影響を及ぼしている事が示唆された。 次年度以降は本年度までに得られた結果を基に、かみしめによって生じた疼痛感受性の変化がeccentric運動によって予防できるか、筋粘弾性はどのように変化するか、さらにeccentric運動の負荷条件の違いにより効果の差が見られるかを調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被験者の安全性の向上、運動装置内のがたつき軽減、円滑な運動負荷などの問題を解決するために繰り返し改良を行ったため、本年度早期に完成予定だったEccentric運動負荷装置の完成が年度後半にずれ込んだが、最終的には様々な実験条件に対応できる運動負荷装置が完成できた。一方、運動負荷による慢性疼痛モデルの特徴の確認や自律神経活動レベルの評価法の確認など、運動負荷装置の開発が影響しない項目では順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた結果を基に、かみしめによって生じた疼痛感受性の変化がeccentric運動によって変調されるかどうか、またこれを予防・治療法として応用できるか、筋粘弾性はどのように変化するかについて検討していく。さらに運動距離・運動開始位置など、eccentric運動の負荷条件の違いにより効果に差が見られるかどうかを調査する。
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Research Products
(2 results)