2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592193
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
服部 雅之 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10307390)
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Keywords | チタン合金 / 歯科用合金 / 硬質レジン前装冠 / 接着強さ / 陶材焼付鋳造冠 |
Research Abstract |
本研究は、試作クロム含有高耐食チタン合金を多用途歯科用合金として、歯科臨床への応用を検討するものである。現在までに、チタンクロム合金の歯科応用に関する基礎的検討を重ね、チタンに15mass%もしくは20mass%のクロムを添加することで、歯科鋳造用合金として適度な機械的性質を有し、フッ化物や過酸化物に対して高耐食性を有することを明らかにしてきた。昨年度から、レジン前装冠(審美性を考慮し金属の表面に白色の樹脂を接着させた被せもの)への応用の可能性を探索する目的で、試作チタン合金と硬質レジンの接着強さを測定し、既存の歯科用合金と比較検討を行ってきた。試作合金と硬質レジンのせん断接着強さは、既存の歯科用合金(純チタン、Ti-6Al-7Nb合金、コバルトクロム合金、金銀パラジウム合金)と同等もしくはそれ以上の値を示した。破断面の解析では、試作合金と硬質レジンの接着界面はすべて凝集破壊(金属面にレジンが残存)像を示したこと、またサーマル付加試験後でも同様の破断面を示したことより、口腔内でも同等の挙動を示す事が期待できることが示された。陶材焼付鋳造冠(金属表面に白色のセラミックを盛り上げ、焼成した被せもの)への応用の可能性を検討することも考慮し、陶材焼成に関する検討を行った。ISO 9693:metal-ceramic dental restorative systemsに準拠した規格試験を遂行するにあたり、陶材焼付金属面の表面処理法の検討を行った。25×3×0.5mmに調製した試作合金板の中央部に陶材を築盛・焼成し、3点曲げ試験により試作合金と陶材部の剥離試験を行ったところ、アルミナサンドブラスト表面とシリカコーティング処理表面間では有意な剥離強さの差異は認めなかった。このことは、陶材と試作合金の焼付挙動のさらなる検討を行ううえでも重要な知見であることから、引き続き検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高耐食チタン合金を多目的歯科用合金として臨床応用を行ううえで、単冠のみならずレジン前装冠や陶材焼付冠に応用することが可能となれば、歯科診療における材料選択肢が増すこととなる。現在までの研究成果からレジン前装冠への適応は可能であることが示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までの検討で、高耐食チタン合金の硬質レジン前装冠への応用が可能であることは明らかとなった。 今後の検討課題としては、陶材焼付鋳造冠への検討の他、現在、鋳造法によるメタルフレーム作製を行っているが、試料形状により鋳造に関わる諸条件を変更しており、それらのデータベース化も併せて検討する予定である。
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