2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛の治療法の開発 ーイオントフォレーシス効果の基礎的研究ー
Project/Area Number |
22592253
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
嶋田 昌彦 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40170948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 陽子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (90366609)
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Keywords | 脳・神経 / 神経因性疼痛 / イオントフォレーシス / CCI |
Research Abstract |
本研究は、DC IOPおよびAC IOPの効果の比較をラットの行動実験によって行った。SD系雄性ラットを用い、CCIモデルラットを作製した後、生理食塩水60分貼付群、リドカインAC IOP群、リドカインDC IOP群、生理食塩水AC IOP群、生理食塩水DC IOP群の5群に分けた。イソフルランによる全身麻酔を行い、左側三叉神経第2枝領域に電極を貼付し、刺激を行った。刺激後、直後から10分後までを処置直後とし、30分後、60分後、90分後、120分後の5回、逃避行動閾値測定を行った。 AC IOPは5、10、20分間の処置では逃避行動閾値の変化を認めず、40および60分間の処置にて、処置直後に有意な閾値の上昇を認めた。60分間の処置後は、60分後まで効果が継続した。DC IOPは5分間の処置から逃避行動閾値の有意な上昇を認めたが、60分間の処置後であっても30分以上は効果が継続しなかった。また、0.9%生理食塩水を使用したAC IOPでは、60分間の処置後に有意な逃避行動閾値の上昇を認めた。いずれの群においても、対側の逃避行動閾値には変化を認めなかった。 以上の結果より、DC IOPではリドカインの輸送がAC IOPよりも短時間で効率的に行われている可能性があると考える。一方、AC IOPは中枢の情報伝達機構に何らかの作用を及ぼし、閾値の上昇を持続させた可能性があると考える。また、生理食塩水による電気刺激でも疼痛閾値に変化が認められたことから、電気刺激はリドカインの輸送以外の変化を生体に与えている可能性があると考える。 AC IOPは、DC IOPと比較すると、逃避行動閾値の変化がより長時間持続することから、慢性痛の治療に有効である可能性が示唆された。本年度の研究により、慢性痛治療としてAC IOPが有効であることの基礎的根拠の一つを示すことができたと考えている。
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