2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経因性疼痛の治療法の開発 ーイオントフォレーシス効果の基礎的研究ー
Project/Area Number |
22592253
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
嶋田 昌彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40170948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 陽子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (90366609)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ACイオントフォレーシス / DCイオントフォレーシス / 神経因性疼痛 / CCI / Fos |
Research Abstract |
ラットの三叉神経核におけるFos様タンパク陽性細胞数を用いて交流電流を用いたイオントフォレーシス(AC IOP)および直流電流を用いたイオントフォレーシス(DC IOP)の効果を比較した。 SD雄性ラットを使用し,CCIモデルラットを作製した。これらのラットを生理食塩水貼付群,リドカイン貼付群,生理食塩水AC IOP群,生理食塩水DC IOP群,リドカインAC IOP群,リドカインDC IOP群の6群に分けた。それぞれの群に,5,10,20,40および60分間の処置を行い,処置直後に60gの機械刺激を与え,灌流固定,後固定の後,30μmの凍結切片を作成し,Fos様タンパクの免疫染色を行い,三叉神経脊髄路核尾側亜核のFos様タンパク陽性細胞数を観察した。 リドカインDC IOP群では5分間の処置からFos様タンパク陽性細胞数の減少が認められ,リドカインAC IOP群では40および60分間の処置にて,減少が認められた。一方,生理食塩水DC IOP群ではFos様タンパク陽性細胞数の減少は認められなかったが,生理食塩水AC IOP群では60分間の処置にて減少を認めた。また,DCイオントフォレーシスでは,60分処置で生食貼付群との有意差が消失した。 リドカインDC IOP群では,短時間の処置でも三叉神経核内のFos様タンパク陽性細胞数が変化したことから,薬物の輸送が効率的に行われ,短時間の処置でも変化が認められたと考える。しかし,長時間使用では,何らかの有害事象が発生し,リドカインの効果が消失した後に求心神経が刺激され,Fos様タンパク陽性細胞の増加を引き起こした可能性があると考える。AC IOPでは,効果発現に時間が必要であるが,生理食塩水を使用してもFos様タンパク陽性細胞数が変化したことから,電気刺激自体が中枢の情報伝達機構に何らかの作用を及ぼした可能性があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24昨年度までに,予定通りの進行速度で研究が進んでいる。実験に大幅な変更を必要とするような事項は発生しておらず,おおむね順調に進展していると思われる。 論文化には,平成25年度の結果を加えなければならないため,まだデータがそろわず,発表の予定が立てられない状況である。しかし,学会での発表は行っており,外部からの評価を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
当大学の事情により,7月までしか動物実験を動かせないため,5匹にしていたn数を3匹に引き下げて実験をせざるを得ない状況になっている。かつ,CCIモデルは,確実に神経障害を起こしているかは処置後の行動学的確認をするまではっきりしないため,状況によっては3匹よりもn数が減少する可能性もある。 しかし,リドカイン血中濃度を外注し,計画的に動物実験を行っていくことで,今年予定している安全性の確認をできうる限り完了していく予定である。また,今年度の実験は,実際の神経学的な反応を観察するのではなく,安全性の確認をすることが目的であるため,n数の減少はある程度許容されるのでは,と考えている。結果が得られた後には,このままのn数で論文化を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)