Research Abstract |
1.歯周ポケット治療におけるEr:YAGレーザーを併用した新しい臨床術式の臨床成績に関する研究基本治療後の歯周炎患者を対象とし,残存歯周ポケットの2部位について,スプリットマウス・デザインでのランダム化臨床比較試験を開始し,本年度末までに計15人において施術を行った.2部位のうち一方は,根面に対する従来の機械的ポケット処置(スケーリング・ルートプレーニング:SRP)をキュレットのみで行い,もう一方はSRP後に追加でレーザー治療を行った.一重盲検とし,処置部位の検査を術前,術後1,2週,1,3,6ヶ月に行い,従来のSRP単独と比較して,臨床的,細菌学的,免疫学的に総合的に検索を行っている.結果として,レーザー併用群で臨床的により良好な治癒が認められている.また,術後治癒に問題は 2.Er:YAGレーザーを用いた新規のインプラント周囲炎の治療法の確立に関する研究 本年度は,歯周炎の進行により抜去されたインプラントを収集し,治療術式の確立のために,汚染マイクロストラクチャー表面の石灰化物の除去が可能であることを確認し,そのための安全で効果的な至適出力範囲を決定した. 3,歯周組織細胞に対するレーザー照射の生物学的効果に関する研究 高いパルス数と高いピークパワーを有する新規の半導体レーザーのヒト上皮細胞増殖効果について検索し,上皮細胞に対する増殖および遊走能促進効果を確認した.さらにシグナル伝達のMAPK経路の活性化について検索中である. 4.青色LEDを用いたAntimicrobial photodynamic therapy(a-PDT)に関する研究 青色LEDと色素の併用によるPorphyromonas gingivalisに対する抗菌効果について,in vitroにて細菌液を用いて検索し,候補色素の中から,優れたa-PDT効果を示す色素を確認し決定した.現在,さらに,青色色素単独の抗菌効果のメカニズムの解明に関する研究を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的には,順調に進行しているが,Er:YAGレーザーを併用した新しい臨床術式の臨床成績に関する研究においては,研究に適した症例が少ないため,やや進行が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
Er:YAGレーザーを併用したポケット治療の臨床研究においては,さらに症例を集めるため,外来において患者およびドクターに臨床研究を周知し,早期に目標数に到達するように努力する. インプラント周囲炎の治療については,臨床応用を開始し,まず症例研究において,その有効性と安全性を評価する. 歯周組織細胞に対するレーザーの生物学的効果については,さらに対象の細胞種を広げ,炎症抑制や石灰化促進効果についての効果を検索する. 青色LEDを用いたa-PDTに関する研究については,メカニズムの解明と共に,臨床試用を開始する.
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