2011 Fiscal Year Annual Research Report
病床における擬似的森林環境によるリラックス反応の評価に関する研究
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22592361
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳 奈津子 群馬大学, 大学院・保健学研究科, 講師 (00292615)
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Keywords | 看護学 / 感覚刺激 / 擬似的森林環境 / リラクセーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、感覚機能(視覚、聴覚、嗅覚)の刺激による環境調整が、療養中の患者のリラックス反応を導き出すという効果を検証することである。本年度は、基礎研究においてデータ数を増加させることを目標とし前年度の追実験を実施した。健康成人において、擬似的な森林環境により感覚機能を刺激し、大脳機能・自律神経系・内分泌系への生理的反応、精神的鎮静化などの精神心理的反応を明らかにすることを目的とした。 健常成人18名を対象とした。人工気候室にて温度・湿度を一定とした上で、昨年度と同様に環境調整を実施した。生理的指標として脳波、心拍変動、血圧、唾液中のコルチゾール濃度、主観的指標として感情プロフィール尺度(POMS)を実施前中後に測定した。また、自由記述や聞き取り調査から、快適感などの主観的反応に焦点を当て、両群間の主観的な反応の違いについても検討した。 脳波においては、環境調整した実験群、通常環境の対照群ともにθ波の増加を認めた。β波は、実験群では減少したが、対照群ではほとんど変化しなかった。心拍変動では、両群ともに心拍数の減少、HF成分の増加を認めた。対照群においては実施中にLF/HFの上昇を認めた。血圧および唾液中のコルチゾール濃度は、両群ともに低下した。POMSは、実験群において「活気」が上昇し、それ以外は低下した。 対照群では全ての因子が低下した。自由記述からは、「落ち着いた」「リラックスした」「スッキリした」など実験群においては肯定的な反応があった。それに対し対象群においては、「疲れた」「眠くなった」「時間が経つのが遅く感じた」などの意見であった。生理的反応から実施中に対照群において緊張状態であったことが推察された。主観的反応からも環境調整をしたことによる効果が確認できたといえる。今後の臨床研究においては、主観的反応に焦点を当て検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を無理のない実践可能なスケジュールで立案したことが順調に実施できた要因であると考える。また、これまでの計画が基礎研究であったため、被験者を募集することもデータ測定することも実施しやすかったためであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、臨床研究となるため、複数の審査、データ収集をする病棟との調整などを経なければ実施できない。そのため、早めに倫理審査申請等を進めて計画通りに実施できるように努める。
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Research Products
(1 results)