2012 Fiscal Year Annual Research Report
病床における擬似的森林環境によるリラックス反応の評価に関する研究
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22592361
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳 奈津子 群馬大学, 保健学研究科, 講師 (00292615)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リラクセーション / 感覚環境調整 / 擬似的療養環境 / 看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、感覚機能(視覚、聴覚、嗅覚)の刺激による積極的な環境調整が、療養中の患者のリラックス反応を導き出すという効果を検証することである。これまでの基礎研究により、安静のみの対照群と積極的な環境調整をする実験群の比較において、生理的な反応の違いはわずかであるが、主観的な反応は明らかに異なっていた。そのため、主観的な反応に焦点を当て、尺度のみならず、患者からの語りにも注目して研究を行った。 患者10名を対象とし、基礎研究と同様に環境を調整した。生理的指標として心拍変動、血圧、唾液中のコルチゾール濃度、唾液中分泌型免疫グロブリンA、主観的指標として感情プロフィール検査(精神的リラックス反応の評価:POMS)とした。環境調整の実施前後に各指標の測定を行った。また、実施後には感覚を刺激する環境調整について自由に語ってもらった。 血圧や心拍数、唾液中のコルチゾール濃度などの自律神経系の反応は、実験群、対照群ともに実施前後での変化はほとんどなかった。実施前に臥床して過ごしていた患者が多く、十分な安静状態での測定であったと考える。唾液中分泌型免疫グロブリンAについては、両群ともに上昇し、実験群においては有意差を認めた。POMSは、実験群において「活気」が有意に上昇し、それ以外は低下した。対照群でも「活気」は上昇したが有意差はなかった。他に、主観的な反応としては、「リラックスもしたが、気分が良くなった。心が洗われる感じがした。」という肯定的な意見や、家族との思い出を回想している意見もあった。 環境を調整することは、患者の療養環境を整える上で重要である。しかし、本研究のように積極的に環境調整を行った研究は乏しい。感覚を刺激する環境調整が患者の精神的な支援につながり、患者自身が持つ自然治癒力を高めることにつながることが推察される。対象者数を増やして明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた研究協力者が体調不良により辞退し、データ収集の開始が遅れたためである。また、患者を対象とした臨床研究であるため、患者の希望、体調などにより予定通りにデータ収集が進まなかったことが影響したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究への協力は、患者の任意であり、データ測定期間の開始後であっても辞退することが可能である。同意を得た後に辞退されることによる研究の遅れを最小限に留める必要がある。そのためには、事前の説明を十分行うだけではなく、繰り返しの介入を行う度に協力への感謝と状況説明を行っていく。ただし、主観的効果の誘導にならないように注意する必要がある。
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Research Products
(1 results)