2010 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の日常の看護ケアに潜む「やわらかい暴力」の顕在化に関する研究
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22592407
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
岩本 テルヨ 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (80285444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 愛子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (10285447)
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Keywords | 看護師 / 看護ケア / やわらかい暴力 / 看護倫理 / 患者-看護師関係 |
Research Abstract |
看護師の日常の看護ケアに潜む「やわらかい暴力」の実態を明らかにする目的で、山口県立大学生命倫理審査委員会の承認を得て、半構成的面接調査・フォーカスグループインタビューを実施した。対象は患者会のメンバーとし、看護師との関わりにおいて感じたことを自由に語ってもらう形とした。現在までに、糖尿病、先天性股関節脱臼、乳がん、がん患者の会のメンバー合わせて43名実施した。面接内容は同意を得て全て録音し、逐語録を作成した。調査データの分析は、戈木^<1)>のグラウンデッド・セオリー・アプローチに準じて、研究者4名で実施中である。 対象の中から、先天性股関節脱臼患者の分析結果を報告する。先天性股関節脱臼患者8名(全員女性、平均年齢63.5歳、平均入院回数2回、平均在院日数46.9日、グループインタビュー時間それぞれ62-70分)のデータ分析結果、12カテゴリー(【】)、29サブカテゴリー(〈〉)を抽出した。【看護ケアに関わる認識のズレ】が核概念としてあがった。【看護ケアに関わる認識のズレ】により、【看護師への思い】には〈感謝〉〈優しい〉〈安心〉〈幸せ〉〈嬉しい〉といったプラスの側面と、〈後悔〉〈ショック〉〈不安〉といったマイナスの側面が挙がり、それらの思いから看護師に対する〈期待と願い〉が出てきた。【看護ケアに関わる認識のズレ】に影響を及ぼす看護師側の要因に、【看護師の職業的姿勢】に左右される〈接遇〉〈コミュニケーション〉〈気遣い〉があがり、患者側の要因には【看護師に対するイメージ】があがった。【プライバシーの侵害】【個人情報の暴露】【連携の不備】は、【看護師への思い】に影響を及ぼしていた。 これらの結果から、【看護ケアに関わる認識のズレ】が「やわらかい暴力」を生じさせる要因となる可能性が示唆された。 1)戈木クレイグヒル滋子:グラウンデッド・セオリー・アプローチ実践ワークブック、日本看護協会出版会、2010
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