2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中予防医療におけるドック診療と外来診療の看護活動連携プログラムの構築
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22592442
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Research Institution | Senri Kinran University |
Principal Investigator |
山本 直美 千里金蘭大学, 看護学部, 教授 (70305704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
登喜 和江 梅花女子大学, 看護学部, 教授 (00326315)
澁谷 幸 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (40379459)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 無症候性未破裂脳動脈瘤 |
Research Abstract |
平成24年度の研究活動目標は、①無症候性未破裂脳動脈瘤患者で自然経過観察を選択した者に関する調査、及び②脳卒中医療に関わる看護師の看護実践の現状把握であった。 ①に関しては、対象者を自然経過観察ケースに絞り調査を実施した。その結果、70歳以上の高齢者に自然経過観察の選択が多い傾向が見られた。さらに本年度の対象者の中で、脳卒中の体験に加え、未破裂脳動脈瘤の発見という重複した脳疾患を持つケースが見られた。無症候性脳血管障害は脳ドック健診だけでなく、脳卒中後のfollow upの脳検査の際に偶発的に発見される場合もある。本調査では、脳卒中と未破裂脳動脈瘤という2重の脳疾患を抱える患者の体験を記述できた。この体験は、すでに脳卒中の後遺症のために「他者にはわかりにくい後遺症との闘い」の中で「自己と他者へのいらだちと我慢」の生活を過ごしながら、脳動脈瘤の存在は「自分の中にある爆弾への関心」として脳卒中の記憶を呼び起こし、再発への恐怖となっていた。しかし、脳動脈瘤への関心や脳卒中への恐怖は常にではなく身体の不調を自覚すると意識化される感情であった。つまり、動脈瘤は無症候であるために、現実的な後遺症との日々が意識の多くを占めていることが分かった。「動脈瘤への関心の薄れ」は、突然の発症への対応に影響する可能性が示唆された。 ②に関しては、23年4月に開設した関連Webサイト「無症候Know-net」を通じて看護活動の現状の情報収集拡充のためにサイトのリニュアル(URL:http://www.strokecare-net.jp/)を図り、平成25年3月現在で研究会登録30名を確認している。サイトへのアクセスも4000件を超えた。今後も登録者からの情報収集を計画し、看護実践活動の方向性を探求していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
無症候性未破裂脳動脈瘤患者の治療選択に関して、高齢者の場合は自然経過観察を選択する傾向がうかがえる。そのため、看護実践プログラムとして治療選択別看護実践の必要性が示唆されてきた。 しかし、現在、高齢者のデータが多く、壮年期や中年期の患者との違いが比較できない状況であり、先行研究との比較にとどまる。さらに、自然経過観察患者の看護実践の多くは、外来や地域に広がると思われる。看護師の現状の把握もこれまでの範囲では不十分と考える。そのため、研究プロセスとして順調な進展とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、看護活動の現状把握の強化を図る目的もあり、情報発信源としてのWebサイトの利用が不十分であった。したがって、サイト主催の「脳卒中ケア研究会」の活動を見えやすくするために、学習会を開催する、サイトのリニュアルなどを通して積極的情報発信を試みた。その結果、研究会会員登録数は30名となり研究協力への基盤ができたと考える。無症候性未破裂脳動脈瘤患者への看護実践に関するデータは充実するものと考える。 また、Webサイトからのリンクを拡大し、脳卒中患者会等へのアクセスも可能となっているため、自然経過観察患者に加えて、壮年期や中年期の患者や積極的予防手術患者の研究協力を進めていくことが期待できる。
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Research Products
(2 results)