2011 Fiscal Year Annual Research Report
転移性肝がん患者への原発がん手術の体験を反映させた周手術期看護援助方法の考案
Project/Area Number |
22592470
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
小西 美ゆき 兵庫医療大学, 看護学部, 講師 (30292684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 禮子 兵庫医療大学, 看護学部, 教授 (90132240)
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Keywords | 転移性肝がん / 看護学 / がん / 手術 / 周手術期看護 |
Research Abstract |
原発がん・転移性肝がんで手術を受けた患者の、原発がん手術体験のとらえ方、転移性肝がん手術に対する思いと取り組み方、原発がん手術体験が転移性肝がん手術に与える影響を明らかにすることを目的として、原発がん・転移性肝がんの2回以上の手術体験をもつ患者を対象に面接調査を実施した。がん診療連携拠点病院である大学病院の外科外来において、原発がん・転移性肝がんの手術体験をもつ成人患者に書面と口頭とで研究の趣旨を説明し、研究協力は患者の自由意思であることや辞退・撤回の自由、匿名性などについて説明したうえで面接への協力を依頼し、同意が得られた患者を面接対象とした。面接はプライバシーの確保できる場所で研究代表者が実施し、対象者の許可を得て録音した。分析は、面接で得られたデータを質的帰納的に分析した。 対象は11名であり、性別は男性7名、女性4名、年齢は53~74歳(平均63.5歳)であった。全員が大腸がん原発であり、大腸がん・転移性肝がん手術のほかに、胃がん、転移性肺がんの手術も体験している者もいた。2名の対象者は希望により一緒に来院していた家族が面接に同席した。対象者の原発がん手術体験のとらえ方、転移性肝がん手術に対する思いと取り組み方は、原発がん手術をより心身の苦痛の強い体験ととらえる、肝臓へのがん転移に原発がん罹患以上の衝撃を受ける、大きな不安や苦痛なく2回の手術を乗り越えるなど、多様であった。また原発がん手術体験が転移性肝がん手術に与えた影響は、肯定的・否定的影響の両側面があり、影響を与えなかったと考える対象者もいた。 転移性肝がん手術を受ける患者に対して、原発がん手術体験および肝臓へのがん転移をどのようにとらえて2回目の手術に向かおうとしているかをアセスメントして、そのとらえ方に応じた心身のケアを提供することの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転移性肝がんで手術を受ける患者への、原発がん手術体験のリフレクション(内省的評価)を促進し、二度目の手術とその後に続く生活に備えるための周手術期看護援助方法を考案するという本研究の目的に対し、平成22年度の文献検討、平成23年度の患者を対象とした面接から、看護援助方法の構成要素が導かれているため。
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Strategy for Future Research Activity |
文献検討ならびに患者を対象とした面接の結果から、看護援助方法の骨子を考案する。さらに、看護師・医師を対象とした面接および米国の先進的がん治療に携わる看護職者との討論から得られる知見を加味することにより、この骨子をより具体的かつ充実した援助方法に発展させる。
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