2011 Fiscal Year Annual Research Report
身近な人と死別した子どもへのグリーフケアとその評価
Project/Area Number |
22592512
|
Research Institution | Tenshi College |
Principal Investigator |
茎津 智子 天使大学, 看護栄養学部・看護学科, 教授 (10177975)
|
Keywords | 子ども / グリーフケア / 死別 / 死の理解 / 喪失 / 悲嘆 / グリーフワーク |
Research Abstract |
平成23年度は、これまで実施した成果発表及び協力病院での介入研究実施に向けた準備活動が主なものとなった。成果発表では、これまでの研究内容をさらに日本という文化における特徴という視点から整理した。身近な人との死別後に子どもが亡くなった人との新たな関係を構築していくプロセスとしてわが国における家庭内の仏壇の存在や墓参り等で家族とともに過ごすこと通して喪に服すという行為により死者との新たな関係を構築している姿が明らかになった。死別体験をした家族からの語りの中に子どもに直接的に教えてはいないが、親の姿をみてなのか仏壇にお菓子を備える、花を飾るなどをしながら亡くなった方に語りかける姿、帰宅すると仏壇に手を合わせる、お盆等の死者が戻ってくる時期の振る舞いなどが、子ども見られることが語られることが少なくなかった。これらの行為は日本の家庭内の仏壇の存在やお盆の風習が、子どもにとっては亡くなった人とともに過ごす時や場を、死後も確保することにつながり、さらに悲しみを癒していくプロセスとして親や周りの大人のふるまいを通して語らずとも死や亡くなった人との新たな関係構築に関与していることが、わが国の特徴として示唆された。これについては、海外で発表を行い、日本における死別後の喪の儀式として関心をもってもらう機会となった。 さらに大切な人死別する子どもへの支援についての看護職の意識に関する内容に関する報告を行った。 これは、看護職の多くに普段から子どもと関わっている、関わっていないに関わらず、子どもが身近な人と死別する際の支援に難しさや戸惑いを感じていることが明らかになった。その理由は、子どもの発達、認知、子どもの死の理解についての情報や知識が不足していることが主な理由であった。そこで、今後は子どもの発達や認知を踏まえた子どもの死の理解を深める研修会、学習会等の機会を医療者に対しては設けることが重要となると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実際の子どもとその家族を対象としたグリーフケアの介入研究を進めるためには、協力病院の存在が重要となり協力病院の理解、協力、場の確保のための研究協力病院との折衝が必要。そのための受け入れ先確保及び倫理審査等に時間を要している。
|
Strategy for Future Research Activity |
介入研究の方向で進める方向で考えているが、課題の特性からも協力病院との検討によっては、内容の一部変更も必要となることも考えられる。しかし、本研究のテーマには臨床でも関心が高くなっており、現在、既に子育て世代での子どもを残して亡くなる人々への支援を実際にスタートさせている病院などとの協力を模索し、病院との共同での研究活動を発展させていくことで研究のための研究とならないことで病院側にとってもより良い方向へと進めたい。
|
Research Products
(3 results)