2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知症高齢者に対する赤ちゃん人形を用いた非薬物療法の効果検証と方法論の確立
Project/Area Number |
22592603
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
畑野 相子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 准教授 (30405071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 隆子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (10182841)
安田 千寿 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (00381921)
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Keywords | 認知症高齢者 / 赤ちゃん人形 / 非薬物療法 / BPSD |
Research Abstract |
【研究目的】様々な形態の赤ちゃん人形を用いたケアを展開し、その効果を検証する。 【具体的内容】認知症対応型グループホーム2か所、介護老人保健施設1か所、介護老人福祉施設3か所、デイサービスセンター1か所において、3種類の赤ちゃん人形に対する関心度を調査し、その中で、関心を示した10人に対して、赤ちゃん人形を用いてケアを実施した。【結果】人形に対する関心度は、認知症の程度によって異なった。軽度認知症の人は、「かわいい」と言うが、それ以上に可愛がることはなかった。3種類の人形を見て、業者が人形の販売に来たのではないかと疑うような反応もあった。認知症が中度~重度の人は、本物の赤ちゃんと認識し、可愛がる様子が窺えた。継続的に関わった10人は、全員に効果が見られた。具体的効果としては、焦燥感や暴言の軽減、徘徊の減少、笑顔の回復、帰宅願望の軽減などが見られた。また、失語症の人に発語が見られた。 【考察】赤ちゃん人形の好みは、高齢者が人形をどのように認識するかによって異なる。万人に共通する人形はないが、目が開眼することや重すぎないなどの共通性が示唆された。赤ちゃん人形を用いたケアでは、様々な効果があった背景には、不安の軽減があったと思われる。高齢者自身が欲求を赤ちゃん人形に向けることで、気持ちの発散ができ、それが安心につながったと考える。 【意義】認知症高齢者の本質的課題は不安である。しかし、それを自分で分析することも表出することもできず、その結果、BPSDとして現れる。赤ちゃん人形が、高齢者自身の気持ちを受け止めるツールとして機能すれば、心理的安心につながり、BPSDの軽減が期待できる。
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Research Products
(2 results)