2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜類似構造を有する生理活性物質の動的挙動の解明
Project/Area Number |
22603008
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
中村 和彦 神奈川大学, 天然医薬リード探索研究所, 客員研究員 (50286647)
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Keywords | 天然物化学 / 生理活性物質 / 生体膜 / 海洋生物 / 有機合成化学 / 炎症惹起物質 / 植物成分 / 分解反応 |
Research Abstract |
生体膜類似構造を有する生理活性物質の探索と化学的・生物学的な機能解明を目的として、種々の生物や化学物質について研究を進めた。 膜構造への関与が強く指摘されるメラニン生成阻害物質の探索を植物成分からおこなった結果、食品用ハーブであるタラゴンから二種の活性物質を得ることに成功した。これら化合物は三重結合と共役不飽和系を有するカルボン酸アミドであり、生理活性について検討した。これらは不飽和結合とアミド結合の存在などこれまでに海洋生物から単離した生体膜作用物質である炎症惹起物質コンプラニン類と構造的に強い類似性を有していることが判明した。同様に溶液中で生体膜類似の会合体を形成する可能性および、生体膜との相互作用などの生物機能が考えられる。これらの化合物について統一した生理活性発現のメカニズムを検討中である。 またGrubbs触媒によるジアリルジオールの開裂反応を見出している。海洋天然物シンビオジノリドの分解反応を試みたところ、所期の反応が進行しその汎用性を確認するとともに構造確認を達成した。本化合物はその構造より生体膜への相互作用が指摘されている。反応の応用と膜構造に関わる機能解明について検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の研究目的である生体膜構造への直接的な生理作用の検討は十分に進展しているとはいえないが、期待しなかった生理作用であるメラニン生合成阻害の発見や、生理活性物質の有機化学的な分解反応について知見を得ており、研究の進展が見られる。全体的には概ね順調と評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症惹起物質や海洋生物由来物質・植物成分という枠にとらわれることなく、生体膜への作用を主な作用メカニズムとする生理活性物質の研究を推進していく。これらの化合物群には構造的な共通性も興味深く、生理活性発現メカニズムと同時に化学的な性質にも着目して合成研究や分解反応に関わる研究を展開していきたい。また、溶液中でのミセル構造再現実験などにも情報収集を開始し、細胞モデルの実験系を構築していく。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Melanin Biosynthesis Inhibitors from Plant Resources2011
Author(s)
Nakamura, K.; Ohno, O.; Yamada, M.; Watabe, T.; Kawagoshi, M.; Maru, N.; Uotsu, N.; Chiba, T.; Yamaguchi, K.; Uemura, D.
Organizer
ICOB-7 & ISCNP-27 : International Conference on Biodiversity and Natural Products
Place of Presentation
Brisbane, Australia
Year and Date
2011-07-14