2011 Fiscal Year Annual Research Report
協同・協調的な学習活動場面におけるこどもの認知とストレスの関連
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22610015
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
平田 乃美 白鴎大学, 教育学部, 教授 (20308224)
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Keywords | 子ども / ストレス / 実験心理学 / 学習環境 / 唾液中αアミラーゼ / 社会的自己保存 / 評価懸念 / 暗算 |
Research Abstract |
平成23年度は,米国California大学Irvine校Sanjoy Mazumdar教授と共同研究を行い,成果の一部「Changes of Psychophysiological Responses during Mental Work Task on Evaluation Apprehension Settings.」を,2011年5月開催の環境デザイン研究学会シカゴ大会にて発表した。下記に成果を要約する。 [目的]社会的自己保存理論を基盤として,個人の社会的自己が脅かされる状況と唾液中アミラーゼ活性の関連を検証する実験を行った。 [方法]実験参加者(日本人大学生77人)は,次の2つの条件下でコンピュータに表示される暗算課題で満点をめざす挑戦を要求された。条件Aでは,参加者は複数の観察者に計算成績をモニターされる状況で計算タスクを行った(社会評価脅威文脈、SET)。条件Bでは,観察者は同じ位置に着席するが,参加者の計算成績をモニターする代わりにアニメーション映画を鑑賞した(非SET)。実験中,心理尺度を用いて主観的ストレスも同時に測定した。 [結果]結果は,社会的自己保存理論を支持した。まず,[1]実験参加者の生理的および主観的ストレスレベルは,A条件(SET)において課題遂行直後に有意に上昇した。一方,B条件(非SET)では、生理的・主観的いずれもストレス値の増加は示されなかった。つぎに,[2]計算課題の好成績群では、A条件(SET)においてのみ,生理的・主観的ストレスレベルの上昇が確認され,社会評価脅威の影響が強いことが示唆された。一方,低成績群では、A・B条件いずれにおいても生理的・主観的ストレスの増加が確認され,計算課題そのもののストレスの大きさが示唆された。 [結論]実験結果は仮説を支持した。特に,課題成績の良好群において社会的自己保存理論が支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主眼である「作業負荷が高まりやすい文脈とそれに対する遂行者本人の状況理解が,心理的・生理的ストレス指標におよぼす影響」について,平成22年度は唾液中αアミラーゼ活性平常値の高低と社会的スキル,平成23年度は課題成績の高低,の要因を取り上げ計画通りに実験を進めている。その成果は,国内外で学会発表を行っており,おおむね順調に進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は,特に生理的・心理的作業負荷が高まりやすい社会的文脈として,「協同・協調学習場面」に焦点化したストレス実験を行う。実験プログラムは,既に連携研究者(上越教育大学大学院石川真氏)により作成・提供されており,本研究遂行上,特に問題はない。
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