2010 Fiscal Year Annual Research Report
育児をめぐる迷惑意識が母親の育児不安・出生意欲に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
22610022
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
中谷 奈津子 至学館大学, 健康科学部, 准教授 (00440644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 美佐 高知大学, 教育研究部, 准教授 (20403868)
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Keywords | 社会学 / 育児 / 家族 / 労働 / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究でいう「育児をめぐる迷惑意識」とは、「こんなところに子どもを連れてくるなんて」「子どもを理由に仕事途中で帰る母親は困る」などといった、社会全体が抱きがちな育児に対する迷惑意識のことをいう。このような人々の抱く「育児をめぐる迷惑意識」は、直接的にも間接的にも子どもを産み育てにくい社会を構築し、結果としてわが国の少子化を進行させていると考えられる。 本研究では、これまで蓄積されてきた育児不安研究、育児ネットワーク研究を踏まえた上で、「育児をめぐる迷惑意識」の実態と形成要因、またその意識が育児を担う人々に与える影響について、特に母親の育児不安や出生意欲の観点から明らかにすることを目的としている。 22年度は、先行研究の見直しと概念整理のための検討を重ねた。子育て支援にかかわる政策は、母親役割のみの強調から、父親や多世代を含めた視点へと変化していること、「こうあるべき」論ではなく、次第に子育てを担う当事者の視点に立つ政策が目指されつつあることが確認された。子育ての男女の役割分担に関する歴史的検討からは、近代において子育て観の大変革が行われていることが指摘されてもいる。近代初頭より子育て観が変容しつつあっても、当時は実質的な子育ては男女が共に携わるものであった。現代社会においては、母親が持つ子育てのネットワークは、自分の親と夫という、非常に縮小したものになっている。さらに家庭内の役割分担は、圧倒的に母親偏重である。現代社会の子育ての責任は、意識的にも実質的にも母親が担うものへと確実に変化し、定着してきたといえる。 しかし、近年マスコミで話題の育メンや、東日本大震災の影響から、子育てを取り巻く価値観や意識はさらに変化の過程にあると考えられる。こうしたことから、23年度は、質問紙調査を先行させるのではなく、実際の子育ての現場を調査し、さまざまな人の声を収集することから着手したい。
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Research Products
(1 results)