2011 Fiscal Year Annual Research Report
育児をめぐる迷惑意識が母親の育児不安・出生意欲に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
22610022
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中谷 奈津子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (00440644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 美佐 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20403868)
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Keywords | 育児 / 社会的迷惑 / 育児不安 / 出生意欲 |
Research Abstract |
2011年度は、昨年度に引き続き概念整理の見直しを行い、育児をめぐる迷惑意識が吉田らの指摘する「社会的迷惑」の一つとして位置づくことを確認した。さらに、子育て当事者と当事者以外の人々が育児をめぐる迷惑意識をどのようにとらえているのかの現状と、育児をめぐる迷惑意識を規定する要因について把握するために、インタビュー調査を行った。インタビュー調査の対象は、大阪府、高知県内の子育て当事者および、子育て当事者以外の人である。インタビュー項目は、自分が育児をしていて他者に迷惑をかけた経験、他者の育児から自分が迷惑に思った経験、迷惑をかけないようにするための配慮の有無、迷惑意識と関連すると思われる要因である。 調査の結果、子育て当事者である対象者は、家庭、職場、友人・知人、公共の場などで迷惑をかけた経験があるという回答をするものがほとんどで、「経験がない」場合は、そもそも外出の機会を減らす、子連れの時は大人一人で外出しない、就労していない、という語りが見られた。職場での迷惑を軽減させるために、普段から気を遣う、自分だからこそできるスキルを身につける子どもを迎えに行ってから子連れで職場に戻るなど、子どもの病気などで急に休むことを見越して、様々な努力を重ねる語りも見られた。さらに、自分の親からの親役割期待が大きく、頼りたくても頼れないといった内容があった。 子育て当事者以外のインタビューでは、迷惑だとは思わない、と答える対象者であっても、「最近子育てしている人と会わない」など、その接触の少なさがうかがわれた。少子化を背景に、子育てからどんどん遠ざかる層と、子育てを自分たちで抱え込む当事者の層があるものと考えられた。 次年度は、インタビュー結果を国際家政学会にて発表し、さらに量的調査を行うことで得られた知見の実証化を行うものとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育児をめぐる迷惑意識に関連する主要な先行研究の見直しに時間がかかったため、その後の研究計画の展開に影響をきたした。2011年はインタビューとそれに基づく質問紙調査を予定していたが、インタビューのみの実施とする。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度には、インタビュー調査の内容を整理し、国際家政学会にて発表数予定である。さらに、インタビューで得られた知見を質問紙調査に反映させ、母親の育児不安や出生意欲に影響しているのか否か検討していくものとする。
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Research Products
(2 results)