2011 Fiscal Year Annual Research Report
粒子線治療時間短縮を目的とする粒子線ビーム強度高精度制御技術の開発
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22611006
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鳥飼 幸太 群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 助教 (90443077)
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Keywords | 粒子線治療 / シンクロトロン / ビーム物理 / 加速制御 / パルス電圧 |
Research Abstract |
粒子線および重粒子線治療は施設建設費が極めて高額であり、本研究では平成21度特許出願された、パルス電圧加速によりビーム縦方向運動量(Δp/p)を急速かつ正確に変化させ、turn-by-turnでの超高速ビーム取り出し制御技術を開発することを目的とする。3次共鳴によって取り出されたビーム強度は強いピークを伴う。ビーム強度ピークの原因は、シンクロトロン電磁石の磁場変動および高周波電圧の精度誤差等に起因することが分かっており、ビーム強度の変動周波数は50Hz~数百Hzである。本研究により提案する手法は、高速でOn/Off可能なパルス電圧を用いてビーム進行方向のΔp/pならびに3次共鳴条件を高速に制御するものである。 粒子線治療用シンクロトロンに本研究の技術を実装する際に要求される装置の性能として、繰り返し周波数6MHz、発生パルス電圧最大100V程度、パルスタイミング発生精度2nsecをもつパルス電源を開発した。本研究に基づく開発が実現すれば、原理的にはビームがシンクロトロンを1周することにビーム取り出しのOn/Offを制御可能となるだけでなく、周回ごとのビーム強度を精密に制御することが可能となる。粒子線治療に用いられるシンクロトロンにおけるビーム周回周波数は数MHzのオーダーであり、従来技術と比較して数十倍のビーム強度制御速度が得られる。本研究に基づくビーム強度制御が実現した場合、特に積層原体照射において照射時間を1/10程度に短縮でき、患者負担の大幅な軽減ならびに粒子線施設の黒字採算化へ多大な寄与をもたらす。当該年度は電源開発を継続し、制御システムとの接続部分の製作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画で、1年目が電源開発、2年目が制御系開発を予定しており、装置の基礎特性等の把握が順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では磁性体コアによってビームにパルス電圧を印加する。平成24年度の研究費ではこの磁性体コアを製作し、電源とコアを組み合わせた誘導電圧試験を推進する。ビーム信号を用いたシグナル処理回路を製作し、実用につながる制御システムの構築を推進する。
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