2012 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪者の社会への再統合と地域のパートナーシップに関する研究
Project/Area Number |
22614008
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小長井 賀與 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (50440194)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 元犯罪者 / 再統合 / 責任 / 再犯リスク管理 / 刑事政策 / 社会政策 / コミュニティ / パートナーシップ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、更生して社会適応している元犯罪者へのヒヤリング調査を実施して、昨年度実施分も含め調査全体から犯罪者の更生促進要因とニーズを抽出し、『「犯罪からの立ち直り」への途 ― 半構造化ヒヤリング調査から見えてきたもの』と題して、犯罪者の更生過程のステージごとの課題、ニーズ、必要な社会的支援を図式化した。 また、2005年度に行った性犯罪保護観察対象者とその担当保護司130組に対するアンケート調査の結果を再集計し、林の数量化理論第III類を用いて分析し、更生過程にいる犯罪者が抱える諸問題について考察した。この調査では保護司の回答や犯罪者が体験した事実と元犯罪者の回答とのずれも照合しており、そこから犯罪者の認知のずれも計った点に特徴がある。 これら二つの調査を通じて、犯罪者には犯罪に対する責任の受入れ、自らの再犯リスク状況の認識、リスクに対する統制力、日々の生活の中で生ずる問題を現実的に解決する能力に問題がある者が少なくなく、これらを体得する必要があることが分かった。また、多くは社会的排除状態に陥り、生活基盤を整えるためには就労支援を中心とした包括的生活自立支援を必要としていることが明らかになった。そのためには刑事政策、社会政策、コミュニティの関係機関・団体によるパートナーシップの連携が不可欠である。 以上の研究成果に、前期の科研費研究「犯罪者の地域コミュニティへの包摂による秩序形成の意義と可能性」の成果を合わせて、日本の犯罪状況、「責任」を鍵概念とした犯罪者処遇の原理に関する考察、犯罪者観の変遷、犯罪者処遇構造の国際比較、犯罪者の更生を巡るコミュニティのパートナーシップに関する理論と事例の考察、犯罪者の更生要因とニーズに関する実証研究、日本の犯罪者処遇制度に関する考察を内包とする単著「犯罪者の再統合とコミュニティ― 司法福祉の視点から犯罪を考える ―」を出版した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|